プロローグ
今回、この本を開いていただいているということは、ハンドメイドの売り上げを上げたい、自分のブランドを作りたい、自分の好きなことで食べていきたい、成功したい、稼ぎたいと思っているのではないでしょうか。
しかし、そのような人の中には、独学でやろうとしていたり、自分ひとりの力でやっていこうとする人もいると思うのです。誰に教わることもなく、完全に自己完結してやっていこうとされる方がいるのですが、実際ひとりの力だけでやっていくというのは非常に厳しい道のりです。
過去を思い返してもらえば分かると思いますが、例えば学生時代のクラブ活動とか、高校や大学の受験でも、自分が成長しようとしたときに、本当に独力だけでうまくいってる人なんて、ほんの一握りです。
中には天才と言われる、自分の力でだけで突破できちゃうようなすごい人も確かにいます。ですが、そんな人は5000人に10人いるかいないかくらいで、そのような能力を持った人はなかなかいないのが現実です。
というのも、物事は、能力で何かが左右されるというわけではありません。大切なことは一人で解決しようとしない、ひとりでやろうとしないことです。つまり、きちんと誰かに学ぶということが大事であるということです。私も自分の商品の販売を始めた当初は独自でインターネットなどで調べながらいろいろとやっていましたが、所詮は今の自分の中での考えでしかないので、発想なんて生まれてこないのです。
例えば、モノづくりに長く携わっているとどうしてもハンドメイドに対する自分の考えだけが正しいと思い込んでしまって新しい発見に鈍感になりがちになってしまいます。何もわからない状態で自己流でやっても単に時間がかかってしまうだけですし、間違った方向へ行ってしまう可能性が非常に高いわけなのです。
ですので、そうならないためにも「今の自分を変えたい」とか「今の状況から変わりたい」と少しでも思っている方は、一度ニュートラルな気持ちになってもらって「そんな考えもあるのか」「そんなやり方もあるんだ」というようなオープンマインドで本書を読んでいただきたいと思います。
本書の流れ
本書では、前半部分にビジネスをする上での基本的な考え方についてお話して、後半から徐々にハンドメイドに特化した具体的なテクニックのお話をしていこうと思います。
このビジネスについての考え方を『マインドセット』と呼んだりします。マインドセットというと、初めて聞く方にとっては少しスピリチュアルな感じがするかもしれませんが、実際に成功している多くの起業家の方たちもこのマインドセットを基本に行動しています。
よくある例えとして「土台がしっかりしていないビルは些細なことで崩れてしまう」と言ったりしますが、基本的なことほど疎かにしてしまうと、後で取り返しのつかないことになってしまいます。とはいえ、基本的な話をすると「もうそんなこと知ってるよ」「そんなの基本中の基本でしょ」「当たり前のことだよ」と思われる方もいるかもしれません。
もしかすると、「高度なテクニックだけ今すぐ教えてほしい!」と、感じる人も中にはいることでしょう。そんな方は、いきなりテクニックのお話から読んでいただいても構いません。
ただ、この「マインドセット」があなたの根底に根付いてないと、ハンドメイドだけでなく、どんなことをしてもうまくいかなくなってしまいます。なぜならこのマインドセットが、これからあなたが行動するための指針となるからです。マインドセットは自分の価値観や信念に深く関係してきます。
有名な言葉で「無知の知」というものがあります。
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自分自身が無知であることを知っている人間は、
自分自身が無知であることを知らない人間より賢い。
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これはギリシャの哲学者ソクラテスの言葉です。「自分は知っている」と思ってしまったら、そこで成長は止まってしまいます。この「自分は知っている」という考え方が最も危険で、成功を妨げている1番の原因です。
あなたが今までうまくいかなかったのであれば、その自分から脱皮する必要があります。今までの古い自分を捨てて、まずは基礎という名の土台作りから始めてみてください。
Part1ブランド作りでマスターするべき7つのポイント
1、ハンドメイドでこんなことに悩んでいませんか?
・Instagramで「いいね!」はつくけど売れない
・minneやメルカリで販売しているけど売れない
・作品制作ばかりに時間が取られる
・制作費ばかり掛かって売れない
・独自の販売サイトを持ちたい
・SNSのフォロワーが増えない
・薄利多売になっている
このような問題点は作家さんであれば、誰でも抱える悩みではないでしょうか?
「なんで私の作品は売れないんだろう・・・」
「作品をもっと知ってもらうにはどうすればいいの?」
本書では、こんな疑問を解消するために、いくつかの解決策をピックアップしてみました。ハンドメイド作家として収入をUPさせていくためにも1つ1つしっかりとクリアしていきましょう。
2、これからは「ブランド」を意識して行動していくべき
これからの時代は〈魅せ方〉というものがとても大切になってきます。いくらすごい作品や魅力的な作品を作ったとしても、魅せ方が悪ければ決して売れることはありません。ここを意識することが非常に重要です。
2020年からコロナウイルスをきっかけに在宅ワークという新しい様式になり、ハンドメイドを始める人たちが後を絶ちません。つまり、これからどんどんライバルが増えていくことになり、あなたの作った作品がますます埋もれていってしまうのです。
そうならないためにも、他の作家さんと差別化することを目的に「ブランド」を作る必要があります。ご自身の作品を誰かに知ってもらいたい、買ってもらいたいと思っていても、あなたのことを知らなければ見向きもされません。
これはあなたが何か買い物をする場面に置き換えてもらうとわかると思いますが、よくわからないブランドの食品や日用品というのは、基本的にあまり買わないのではないでしょうか?ということは、お客さんもあなたの商品に対して同じ感情を抱いているという事になります。
つまり、これは「信用」「信頼」が必要であるということです。これからの時代は個人で「ブランド」を持つことが非常に重要となってきます。それは個人が認められる時代になってきているからです。
ブランドというと、昔は性能を保証するものでした。壊れない、丈夫である、サポートがしっかりしているといった「品質面」にブランドの価値がありました。例えば、家電業界でいえば、東芝、ソニー、パナソニックが代表的です。
ですが、全般的に性能面でのレベルが上がり、どれを選んでも大差ない現代においては、
ブランドを作っているのは、あなたの世界観であり、ビジョンです。「この人の発信しているメッセージが好き」「その価値観に共感している自分が好き」という気持ちがブランドを作っています。このように世界観やビジョンを、いかにお客さんに伝えるかでショップの売上が大きく左右されます。
昔から「出る杭は打たれる」という言葉があるせいか、現代では個性を出すことに躊躇する方が非常に多いように感じます。みんな言葉には出しませんが、「誰かに悪く言われたくない」という感情によって自分をうまく表現することができなくなっています。自分を表現したくても心のどこかでブレーキをかけてしまっているのです。
それではあなたの魅力が大勢の人に伝わらずに、せっかく作った商品が廃れて(すたれて)いってしまいます。これからは「恥ずかしい」「怖い」などの心のブレーキを外して、あなたらしく表現できる方法を身に付けていくべきです。
あなたらしさを全面にアピールしたオリジナルのブランドを作って、ご自身の作品にファンができる喜びを感じましょう。
3、ブランド作りで必ずマスターするべき7つのポイント
【その1】「時間」と「お金」の考え方
まずブランドを作る前提として、ビジネスをする上で最低限これだけは知っておいて欲しいという考え方があります。それは「時間」と「お金」についての知識です。
生きていく上で当たり前のように使っている『時間』と『お金』ですが、当たり前に使っているからこそ今一度、考え方を改める必要があります。
まず時間についてですが、今あなたの行動がどのような結果につながり、そしてその結果が出るのがいつになるのかをしっかり見定めることが必要になります。時間の使い方を間違えてしまうと、いつまで経っても成果が出ずに、いつの間にか「こんなに年を取ってしまった」という事になりかねません。
続いてお金についてですが、あなたがビジネスをする上で、どのようなお金の流れになっているのかというキャッシュフローを理解すること。そしてどこで現金化されるのかというキャッシュポイントをしっかりと把握する必要があります。
何も考えずに、ただ商品を作って売ってを繰り返していると「売れているけどなぜか収入が増えない」という事になってしまいます。そのようなことにならない為にも、まずは基本となる『お金』と『時間』の知識をしっかりつけていきましょう。
【その2】目的に合わせて情報収集する能力
この『情報』というのも、時間とお金に直結するものです。「情報は命」と言う人もいれば、中には「情報を得ることは未来を予知すること」と言う人もいるくらいです。
現代においては、自ら情報収集をすることが必須になっています。それはハンドメイドに関する情報だけではなく、付随する全ての情報も必要です。近年では、もはや数年前の情報は古いと言われ、数か月、数週間、中には数日で使えなくなる情報も存在しています。
たくさんの情報があればいいというわけではありませんが、自分に必要な情報を自ら収集していかなければ、考え方が凝り固まってしまって、いずれ必ず行き詰ってしまうでしょう。現代で成功するためには、情報をインプットしてアウトプットすることの繰り返しがとても重要となっています。
どんなに良い情報を取り入れてもそれをうまくアウトプットできなければ、成果は出ません。「ふむふむ、いいこと知ったぞ」で終わりではなく、そのインプットした情報をもとにして行動するというアウトプットも必要になってきます。多くの作家さんが、そのことに気付かず足踏みしているのが現状です。
情報源と情報の質によりますが、得る情報によっては良い方向に進むこともあれば、もちろん悪い方向に進むこともあります。悪い方向に進まないためにも、情報を精査できるように情報リテラシーを身に付けることが大切なのです。
正しい情報を入手すれば必ず良い方向へ進むことができるでしょう。
【その3】ハンドメイドに特化した心理学
心理学と聞くと「恋愛!?」と思われがちですが、実はそうではありません。
ビジネスでは意外なほどに心理学が重要であり、そして売れている人ほど心理学を利用しているのです。
特にマーケティングでは『購買心理』と言ったりします。
気付いていないかもしれませんが、あなたも日常で買い物をしている中で、この購買心理を利用して「欲しい」と思わされているものが数多く存在しているのです。
この購買心理を知ることができれば、普段の日常の買い物での見方が変わりますし、様々なお店の戦略を自分のビジネスに落とし込むことや真似することが出来るようになります。
もちろんこの心理学は恋愛などの人間関係でも活用できますので、知っておいて損はありません。
【その4】モノを売らずに○○を売ること
実は、ほとんどの作家さんが間違った認識をしています。その1つが「形あるモノ」だけに執着しているということです。まずはこの大きな問題点を改善しない限り、多くの作家さんがドツボにハマって抜け出せなくなってしまいます。
あなたは、
作品が売れない ⇒ 作品を作る
というループにハマっていませんか?ただ単に商品を作れば売れるという時代は終わりました。
これからはあなた自身を売ることがとても重要になってきます。もちろんSNSやブログを使うことも大切ではありますが、それよりもお客さんにどうやってアピールするかがポイントになります。
【その5】モノが売れない時代だからこそ○○のスキルを身につけること
今はモノが売れない時代と言われています。そんな中、多くの作家さんは自分の作った作品に惚れ込んでいます。実はそこに大きな落とし穴があります。
作品に惚れ込むことは決して悪いことではありませんが、自分の作品のことをメインに考えすぎてお客さんのことが見えなくなってしまっているのです。自己中心的な考えはお客さんとって「天敵」です。
お客さんがどうしてあなたの作品を買うのか?
お客さんがあなたの作品を買う理由は何か?
このようにお客さんの「気持ち」にフォーカスしてみましょう。
【その6】 ハンドメイドマーケットで売れない理由
ハンドメイド業界では、たくさん作品が売れる人もいれば全く売れない人もいます。いったいこの差はなぜ生まれるのでしょうか?実は、売れない人の行動にはあるパターンが存在します。
大抵の場合、販売経路を決めるときには、知り合いがやっているからとか、もしくはインターネットや本を見て情報を収集すると思います。
ですが、売れない人はそういった情報に惑わされ、知らず知らずのうちに「表面的な行動」だけをしてしまっています。
例えば、何かの本に「minneで販売しよう」と、書かれていたからminneで販売してみたとか、どこかのブログに「インスタグラムに投稿しよう」
と書かれていたから投稿してみた・・・
というように、単に書いてあったことをそのまま実践しているだけなのです。売れない人は「どうしてそれをやるのか」という本質が分かっていないため、
『minneで販売しよう』 ↓ minneで販売してみる ↓ 売れない |
『インスタグラムに投稿しよう』 ↓ インスタグラムに投稿してみる ↓ 売れない |
ということが起こってしまいます。
仮にそこで売れたとしても、なぜ売れたのかが分からないので、何を続けて何を改善すればいいのか分からず、次第に売れなくなっていくのです。
「何のためにそれをやるのか」
「どうしてそれをやるのか」
という本質的なところに焦点を当てましょう。この本質さえ知ってしまえば、これからは自然と作品が売れるようになります。
【その7】 なぜSNSを使っても売れないのか?
これはおそらくSNSをする上で、多くの人が陥っている大きな落とし穴ではないかと思います。
SNS全般に言えることですが「いいね」や「フォロワー数」の数と作品の売上げの数は関係ありません。
ここがかなりのポイントで、ほとんどの人は「いいね」や「フォロワー数」が増えることで、喜びや優越感に浸ってしまっているのですが、そこは残念ながら売れることと相関性がないのです。
現在のあなたに思い当たる節があって、さらに現時点で売り上げが上がらずに悩んでいるのであれば、その行為が「間違っている」ということですので、今すぐ行動を改善していきましょう。
ただ単に「いいね」を増やしたいのか、「フォロワー」を増やしたいのか、それとも作品の売上げを上げたいのか・・・
目的意識をしっかりと持った上で行動するべきです。
Part2ビジネスの基盤 8つのマインドセット
1、「好きなことを仕事にする」の裏側
あなたは現在のハンドメイドの市場規模をご存知ですか?ハンドメイドの市場規模は2001年~2016年で4175億円とされていて、流通金額が2014年には35億円、2015年は72億円、2016年は192億円となっています。
中には月間で500万円を売り上げる作家さんもいます。そして今もハンドメイド作家がどんどん増えているのです。それでも「売れない」と言っている人がいるのは何故でしょうか?
というのも、現在ではハンドメイド市場は飽和状態にあります。つまり、作り手側の作家さんやデザイナーさんの数がパンク寸前であるということです。
あなたは、80:20の法則(またの名をパレートの法則)というものをご存じでしょうか?これは「80の物事が20の結果を生み出し、20の物事が80の結果を生み出している」とされていて、世の中のほとんどの物事がこの法則によって成り立っています。どの業界の市場でも20%の人の売り上げで80%の市場規模が形成されていて残りの80%の人たちの売り上げで20%が形成されています。
よくハンドメイドの本では、成功されている方の紹介がされていますが、こういった人は本当に一部の人たちであるということなのです。基本的にこのような本は希望を持たせるように書かれています。(書籍の本来の目的はここにあります)
ですが、それこそ「私は数字が苦手だから」と言って、お金の知識、ビジネスの知識、マーケティングの知識をつけず、「自分の好きなことや夢を追いかければいつか成功する」と考えている多くの人はうまく行きません。なかなかうまく行かず、涙を流しながら「どうすればいいんだ」と悩みを打ち明ける人もいます。
ここでもっとも重要なことは、ハンドメイド業界の「成功」という定義をどこに置くかです。それなりに人気が出て自分が満足すればそれでいいのか、自分だけ暮らしていけるだけの収入があればいいのか、家族を食べさせるだけの収入が必要なのか・・・これらの考え方でも大きく変わってきます。
作家さんの中には収入は入るけど制作に時間を取られ、自由な時間がなく「このまま一生を終えるのか」と嘆く人もいます。ビジネスというのは短距離走ではなく、山登りと一緒で長い距離を歩き続けるものです。ハンドメイド作家の大半は女性であり、女性はお金に重きを置いてない方が多いと思います。ですがハンドメイドもビジネスです。
ここで1つ知っておいてもらいたい事実があります。大変残酷で耳を塞ぎたくなるような話ですが、世の中のビジネスや仕事は平等にできていません。
1つ例を挙げて、ITの分野とハンドメイドの分野で比べてみましょう。それぞれ同じくらい頑張ったとしても収入は全く違います。なぜならそれは、ビジネスとお金との距離が違うからです。学校の授業でいえば、国語、数学、理科、社会などの科目はビジネスでお金に変わりやすいですが、逆に音楽、美術、体育などはお金に変わりにくいのです。
例えば、お金に一番近いビジネスと言えば投資家です。次にはマーケティング、セールスに関するビジネスになります。そして一番遠いビジネスはスポーツと芸術・音楽です。
ちなみに、スポーツの世界全体で生活できるだけの収入を得ることができる人は、いったいどのくらいいると思いますか?また、そのスポーツはどのくらいの期間続けられるものでしょうか?
普段はニュースなどでメジャーな選手たちを目にして、大きく稼いでいるイメージがあるかもしれませんが、内情はかなり複雑で、スポーツ選手を目指して燻って(くすぶって)いる人は星の数ほどいます。さらにスポーツ選手は引退するのも早いので、そのあとはコメンテーターや監督としてやっていくしかありません。
それでは、芸術家の人で稼いでいる人はどのくらいいるでしょうか?芸術の世界では制作者亡き後で価値を高めて人気を博すことも珍しくありません。美術で有名な画家のフェルメールは、生前は奥さんの収入で生活していたと言います。そして亡くなった後に「忘れられた画家」として高い評価を得るようになりました。
では、夢を追って成功していないミュージシャンはどのくらいいるのでしょうか・・・?
『80:20の法則』をもとにすると、20%の人の売り上げで80%の市場規模が形成されていますが、ITの世界のトップ10%の収入とハンドメイド業界のトップ10%では収入の桁が違います。これはハンドメイドが労働集約型だからです。デザインにこだわればこだわるほど、どうしても単価が下がっていきます。
先ほどのITの分野とハンドメイドの分野の例で見てみると、それぞれ同じ時間働いたとしたら月収で10万円と月収100万円くらいの差が生じます。もっと言うと、1日10時間や12時間働き続けて年収で300万円なのと1日2時間程度の働きで年収1000万円などの差ができてしまいます。
80:20の法則でいうと、20%の努力で80%の結果が出るということは4倍の成果が出ますが、80%の努力で20%の成果しかでなければ1/4の成果しか出ません。この差は16倍にもなります。生涯年収という面で見ると、これは恐ろしいほどの差です。
これが「好きなことを仕事にする」の裏側です。誰も口にしませんがこれが真実です。この差は実力の差というわけではなくビジネスとお金の距離の問題なのです。ハンドメイドで食べていくには、それなりどころか大きな覚悟が必要です。これらの事実を知らずに安易に手先が器用だからとか物づくりが得意だからといって、何も考えずにハンドメイドの業界にどっぷり浸かると危険です。ビジネスはそんなに甘くないです。つまりハンドメイドはビジネスであって遊びではないということです。
「あんたはハンドメイドを馬鹿にしてるのか!」という声が聞こえてきそうなので言っておきたいのですが、決してハンドメイドを批判しているわけではありません。私も小さい頃からアクセサリーが大好きでハンドメイド業界に入りました。そして諦めずに、何度も何度も地の底を這うように頑張ってきました。ダウンサイジングも何度もしてきました。
ハンドメイド作家を続けていく覚悟がある人は、必ずこの『ビジネスとお金に関する知識』、そして『現実』だけは把握しておいて欲しいのです。世の中の8割はマーケティングとセールスで成り立っています。どんなことにも必ず、お金との距離が近いマーケティングやセールスの知識・スキルを取り入れていかなければいけないという認識だけは持つようにしてください。
2、成功している人を真似すれば成功する?
実はハンドメイドというのは、一見すると「モノを売る」というところに集約されるのですが、中身は全く違っていて「自分自身を売る」ことが本質になってきます。この本質というのがとても大事で、表面上のことばかり見ていては絶対にうまくいきません。
例えば、現在成功している人のことを、あなたが表面上だけ真似をしたとしても、おそらくうまくいかないと思います。それは今までやってきたことが違いますし知識量も技術量も経験量も違うからです。私はよくこの話を資産の話に置き換えることがあります。
ここで1つ例え話をしましょう。2人の人物がいたとします。仮に「Aさん」と「Bさん」としましょう。2人とも現在、同じ40歳という年齢で、同じ1億円という資産を持っています。
ですが、2人とも1億円を築き上げた工程が違います。Aさんは若くして起業し、いくつかの会社の経営者として活躍しています。一方、Bさんは普通の会社員ですが、昨年の年末ジャンボ宝くじで1億円が当たりました。
このように、今現在は1億円の資産があるという結果は同じですが、その1億円を得たプロセスは全く違います。今後、この2人はどのような人生を送ることになるのでしょうか?以下のように予想することができます。
・Aさんは、自分の努力で資産を築き上げてきたのでキャッシュフローを理解し、熟知している。そのため、今後も資産を増やしていく方法を知っている。 ・Bさんはいわゆる運のみで1億円を手に入れたため、お金の流れについて無知である。よって今後の人生はお金を浪費していく一方であることが想像できる。 |
もちろんこの話は、あくまでも一つの仮定にすぎません。ですが、あるデータでは宝くじで大金を手に入れた8割以上の人がその後の人生で自己破産しているという事実があります。ちなみに現在では、宝くじに当選した人に対して自己破産しないように注意喚起したパンフレットまで配られるそうです。
これは「セルフイメージ」というものが深く関係しています。セルフイメージとは、自分が自分に抱いているイメージのことで、「自分のことをどんな人なのか」「自分は何が得意で何が苦手なのか」「自分は周りからどう見られているのか」という自分に対しての印象のことです。セルフイメージは人生における全ての経験や体験の積み重ねで構成されていきます。
つまり、ビジネスや投資をしながら徐々に資金を築いていく経営者や投資家に対して、もともとお金が無い状態から、宝くじでいきなり大金を得たような一般人では、現時点で持っているお金は同じでも、自分に対するセルフイメージが全く違うということなのです。
このお話は、成功している人の真似をするのなら、今していることではなく、成功する前のことをしなければならないという教訓でもあります。先ほど、1億円の『資産』と言いましたが、本当の資産は結果ではなく「プロセス」と言えるかもしれません。つまり、これが表面上(お金)ばかり見るのではなく本質(プロセス)を見るべきであるということなのです。
ハンドメイドでも同じことが言えます。仮に他の作家さんの作品が素敵だからといって、作品を真似して売っても、短期間での収入は入ってくるかもしれませんが長い目で見たら絶対にうまくいきません。(そもそもこれは著作権違反にもなるので絶対にやらないでください。)
というのも、その人の性格、スキル、知識、経験までは真似できないからです。細かいところまでこだわった作品制作や、お客さんとのコミュニケーションの仕方、お問い合わせが来た時の対応などはその人の過去の経験から全て成り立っているため、真似できるものではありません。
なので、表面上の「モノ」だけを売るのではなく、その作品を作る工程(労力や時間)だったり、作品を手渡す過程(感情や想い)も含めて売っていくことがとても重要になります。
あなたもご自身のお気に入りのブランド品などを購入していればわかると思いますが、そういったところに人は愛着が湧いて、好きになり、そしてファンになっていくのです。今後のモノづくりをしていく上で、このような考え方を取り入れてハンドメイドに取り組んていってほしいと思います。
3、ビジネスというのは短距離走ではなく長距離走
多くの人は自分の弱みを克服しようと必死になっています。他人と比較することはともかくとして、誰にでも短所と長所・得意不得意が必ずあります。もちろんあなたにもあると思います。学校の授業で言えば、理科は得意だけど英語が苦手と言った具合です。
例えば、私はもともと足が速かったため、学生時代は陸上部で活躍していたことがありました。ですが、逆に水泳が大嫌いで、恥ずかしいことに泳ぐのがとても遅かったのです。恐ろしいほど肺活量がなく、ほとんどいつもビリケツでした。
つまり私の長所は足が速いことで、短所は泳げないことになります。もし、私が陸上部ではなく、水泳部に入って同じように努力したとしても、陸上部ほどのパフォーマンスは出せなかったでしょう。有名なスポーツ選手で例えると、イチロー選手にサッカーを上達してもらうため努力してもらうようなものです。
要するに、短所を伸ばすことには限界があるということです。水泳部に入って短所を克服するより、陸上部に入って長所である足が速いことを活かし、さらに長所を伸ばすことに専念した方が伸び率が大きくなるでしょう。
これはハンドメイドの業界でも、どんなビジネス業界でもどんなお仕事でも同じことが言えます。多くの人は自分の苦手な部分を克服しようと必死になっています。
もしあなたが、長所ではなく短所を伸ばすようなやり方をしているようであれば、それは失敗する可能性が非常に高いです。人は長所を大きく伸ばすことができますが、短所を同じだけ大きく伸ばすことは不可能だからです。仕事でうまくいっている人は、自分の得意なことに加えて自分のスキルを合わせています。
もし、仮にあなたが細かい作業が好きで裁縫をやっていて、逆に数字が苦手であれば、会計や税に関しては自分でやらずにプロに任せてた方が、日々のパフォーマンスを最大限に発揮できます。(ただし、ある程度の基本知識は身につけておくべきです。)
嫌いなことや苦手なことを克服しようとしても、好きなことや得意なことをしている人の足元にも及びません。ある程度までは成長できますし結果は出るかもしれませんが、おそらく飛躍することは難しいでしょう。
ハンドメイドもお客さんにお金をもらっている以上はビジネスです。ビジネスというのは短距離走ではなく長距離走です。半年間だけやって終わりではありません。これから10年・20年・もしくは一生続けていくものです。短所を伸ばそうとしても、きっと10年・20年も続けられないでしょう。
好きになれば別ですが、おそらく多くの人は短所である部分を好んではいないと思います。それではいずれどこかで嫌になってしまいます。あなたが得意なことや好きなことにいつもフォーカスして常にそこを伸ばすようにしていってください。
4、モチベーションの源を見つける
あなたは「モチベーションがなくて作品が作れない」と悩む時はありませんか?もしかすると、今このときに「モチベーションが上がらない・・・」と悩んでいるかもしれません。
モチベーションが上がらない理由の一つとして体が疲れていることが原因としてあります。あなたが本業をしながら副業でハンドメイド制作しているのであれば、もしかしたら睡眠不足などが原因かもしれません。
ですが、もっと根本的な理由があります。モチベーションが上がらないということは、そもそも間違ったことをやっている可能性が高いです。要は、現段階で作品を制作するべきタイミングではないということです。
どんなジャンルの職業で、どんな仕事をしている人でも、そしてどんなプロの人でも、一生同じモチベーションを保つことは不可能です。モチベーションが下がる時は必ずあります。
もしあなたのモチベーションが上がらずに作品が作れないと悩んでいるのなら、今は作品を作るべきタイミングではなく、やるべきことが他にあるという合図です。物事にはトータルバランスが大切です。物事は全て循環して成り立っています。
例えば、プロの野球選手が、ずっと筋トレして体ばかり鍛えていてもダメですよね。ピッチングや素振りの練習をしてスキルを磨くことも大事ですし、どんなことにも挫けないようにメンタルを鍛えることも重要です。オリンピック選手なども同じです。体力だけでなく、スキルや精神も鍛える必要があります。そのためにプロの選手はみんな通常の技能コーチの他に、メンタルコーチを専属で必ず付けています。
また、人は必ず飽きというものが生じますし何か他に重要だと感じることがあれば、心のどこかで作品を制作することに対して知らず知らずのうちにブレーキをかけてしまいます。そんな時に無理やり作品を作っても良い作品はできません。必ずあなたの感情が作品に表れます。そしてそれはお客さんも感じ取ってしまいます。
ハンドメイドは作品制作だけの世界ではありません。お金の知識も必要ですし、マーケティングの知識も絶対に必要です。マーケティングの中でも集客、セールス、コミュニケーション、マインドなど、必要なスキルはたくさんあります。もしモチベーションが上がらないとしたらマーケティングなど他の活動をするべきかもしれません。
例えば、集客のために文章の書き方を学んでブログに専念したり、写真撮影の技術を追求したり、心理学について勉強したりなど、他の情報を集めてみるのこともいいかもしれません。そうこうしているうちに、いろいろなアイデアが浮かぶようになり、自然とまた「作品を作りたい!」という制作の意欲が湧いてくるかもしれません。その時が本当にあなたが作品制作をするべき段階であるという事です。
また、自分のモチベーションが上がるポイントを見つけておくことも大切です。例えば、特定の誰かと会うとモチベーションが上がったり、誰かのためを思って活動するときはモチベーションが上がったり、また、犬や猫の動画を見たり、好きな音楽を聴いたり好きな映画を見るなど、自分のモチベーションポイントを見つけてみましょう。
逆に自分のモチベーションが下がる原因も把握しておくべきです。モチベーションが下がる理由として、体が疲れていることの他にもSNSなどで他の人の活動や作品などを見て落ち込むこともあるかと思います。
ここで一つやってみて欲しいことは、他人のSNSの投稿は情報収集をすると決めたとき以外は見ないことです。そしてこの決まり事を徹底することです。「見ない!」と決めていれば仮に投稿する時に見てしまいそうになっても自分を抑制することができます。これを徹底してやらないと常に感情を揺さぶられて、作品の制作活動にも影響してしまいます。
先ほどもお伝えしましたが、感情は作品の完成度にものすごく影響します。ブログなどの文章を書く時も同じです。誰かとケンカした直後に制作した作品には感情が表れて、おそらくいい加減な作品になってしまったり、どこか汚かったりと違和感を感じるような怒りの感情が表れた作品になっているはずです。
ですので、自分が「やる!」「やりたい!」と思っていることに全精力を集中してください。他人の活動はあなたには関係ありません。現代では、多くの人がスマホに依存しています。スマホを開けば全てのものが手に入るくらい、いろいろなことができます。だからこそ、逆にどれだけの情報と欲望をシャットダウンして自分の感情をコントロールできるかがカギになります。こうしたあなたのマインドがこれからの活動に大きく影響するでしょう。
5、売ることへの心理的ブレーキ
販売で上手くいかない人の理由の1つとして、お金をもらうことが悪いと感じていることがあります。また、自分で気づいていなくても、実は心のどこかで潜在的に感じているということがあるかもしれません。これはブレーキをかけながら走っていることと同じです。この売ることに対しての心理的ブレーキには様々な要因があります。
例えば、
・セールスに引け目を感じる
・お金に対して悪いイメージがついている
・提供の精神ができていない
・自信がなくて売るのが怖い
・モチベーションが上がらない
などです。
大半の人は小さい頃、お金に対して悪いイメージを植え付けられています。「借金」「詐欺」といった言葉がそうです。お金を持っている人は悪いことをしていそうなイメージだったり、友達とのお金の貸し借りで親や学校の先生に怒られた、両親がお金のことでケンカしていた、という経験はありませんか?
この「お金が欲しいけど、お金をもらうのは悪い」という摩擦によって、売れない状況を作ってしまっていることが往々にしてあります。まずは、お金に対しての考え方を変えてください。今までビジネスをしたことがない人が、何かしらの商売を始めるにあたってオススメしているのは、「オークション」で何か物を出品してみるということです。
まず最初に、お金がどのように入ってくるかという流れを簡単に理解することから始めます。売るものは服や本など、なんでも大丈夫です。ヤフオクやメルカリなどで売ってみて「物を売る」という体験をしてみるのです。
その経験によって、完全ではないにしても悪いイメージを払拭することができます。お金が入ってくる流れが見えてくるからです。そして、何か物を売って人に提供するということは、あなたが相手に対して、何かしらの価値を与えているという概念を持ってください。
人はお金を払うことで、その物やサービスに価値を感じて大切にする傾向にあります。同じ物やサービスでも、無料で手に入れたものとお金を払って手に入れたものでは、その価値の感じ方は明らかに違ってきます。このマインドセットを持っておけば、お金をもらうことに対しての抵抗を無くすことができます。
作家さんやデザイナーさんの中には、「自分の作ったハンドメイド作品なんて価値がない」「自分が作ったものより、もっと良いものはいくらでもある」「こんなものでお金をもらうなんて気が引ける」など、ネガティブな考えをしてしまう人もいるかと思います。
ここで次のようなことを自分自身に問いてみてください。
「売るということはお客さんからお金を奪うこと?」
「売るということは不要なものを押し付けること?」
「売るとはお客さんに嫌われること?」
あなたが作品を提供するということはお客さんのお金とあなたの価値を交換することということを忘れないでください。
6、一点にフォーカスすること
現代に生きている人たちは、みんな大忙しです。あなたも日々の生活の中で、やらなければいけないことが山のようにあると思います。ですが、あれもこれも「何故かうまくいかない」とか結局やりたいことが全然できていないといって嘆いていませんか?実はそれには大きな理由があります。
ここで一つ『実践ワーク』をやってみましょう。例えば、下記のような4つの項目があるとします。
①年月 1月 → 2月 → 3月 → 4月 → 5月 → 6月 → 7月 → 8月 → 9月 → 10月 → 11月 → 12月 ②アルファベット A → B → C → D → E → F → G → H → I → J → K → L → M → N → O → P → Q → R → S → T → U → V → W → X → Y → Z ③干支 子(ね)→丑(うし)→寅(とら)→卯(うさぎ)→辰(たつ)→巳(み)→午(うま)→未(ひつじ)→申(さる)→酉(とり)→戌(いぬ)→亥 ④星座 牡羊座 → 牡牛座 → 双子座 → 蟹座 → 獅子座 → 乙女座 → 天秤座 → 蠍座 → 射手座 → 山羊座 → 水瓶座 → 魚座 |
◾️ワーク その1
まず、この①から④までを順番に紙に書いていく
(①の年月を全て書き終えてから②のアルファベットへ書き進め、②が全て終わったら③の干支に進む。)
◾️ワーク その2
【ワークその1】を実践してみたら、次に①~④をそれぞれ一つずつ交互に書いていく
(①の1月を書いてから、②アルファベットのAを書き、③の子(ね)を書き、④の牡羊座を書くといった順番)
さて、ワーク1とワーク2ではどちらがスムーズに書けましたか?おそらくワーク1の方がスムーズに書けたのではないでしょうか。
逆にワーク2は常に頭の中を切り替えなければならず、ごちゃごちゃしてスピードが落ちたはずです。アクセルを踏んでる中で急ブレーキをかけている感じです。1つ書き終えて次を書こうとすると一瞬止まってしまいませんでしたか?そしてやっているうちにイライラしてストレスを感じてきませんでしたか?
これはどんな人がやっても同じ結果になります。どんなに頭のいい人でもどんなに優秀と言われている人でも、どんなに学歴がある人でも、どうやっても間違いなく同じ結果になります。
実はみなさん、これと同じことを普段の日常の生活でやってしまっています。毎日同時にいろんなことをやるというのはこういうことなのです。やりたいことや、やらなければいけないことが山のようにありすぎて、一つのことをやり終える前に次から次といろんなことをやり始めてしまっています。
ここで重要なことは、一つのことを集中してやっている人には絶対に勝てないということです。「二兎を追うものは一兎も得ず」ということわざがあります。人はいろいろなことに手を出して複数のことを同時にやりたがりますが、そうなるとエネルギーが分散してしまいます。そして集中力も十分に発揮できないうえに1つ1つのクオリティは確実に下がってしまうのです。
仮に2つのことを同時にすればエネルギーは2分の1に分散しますし、4つのことをやれば4分の1に分散してしまいます。もともと集中力がない人がこれをやってしまうと、もっともっと効率が悪くなってしまいます。
これではどんなすばらしいアイデアや重要なことをやっても意味がありません。一説には、いろんなことを同時にやろうとするとIQが下がるというデータもあるそうです。これはかなり致命的です。おそらく周りからみたら効率が悪いが故に、頭が悪く見られてしまうかもしれません。つまり、能力よりもやり方の方が何倍も重要だということです。
一つのことに集中し、複数のことをいっぺんにやろうとせず、一つのことに対して全力で片付けること。そしてそれを習慣化しルーティンにすること。これが結果を達成するために必要なことです。もしあなたに思い当たる節があるのなら、これを意識して日々の行動を改善していけば、自然と今までとは違う結果が出るでしょう。
7、満足な豚と不満足な人間
あなたは過去にこんなことを言われて傷ついた経験はないですか?
『そんなことしてて楽しい?』
『よく我慢できるね。それでいいの?』
『人生もったいなくない?』
『今を楽しまなきゃ損でしょ』
キツイ言葉ですが、私も実際にこのようなことを言われた経験があります。こういう事を言う人には大きく分けて二つの特徴があります。
まず一つ目は長期的に物事を考えられない人です。文字通り『今』の事しか考えられないため、将来のことを考えない、もしくは考えないようにしている人です。のちに後悔したとしても自分のせいではなく他人のせいにして一生逃げ続けます。
二つ目は自分のことしか考えていないという特徴があります。自分の事しか考えていない人には、あなたが誰かのために行動していたとしても、おそらくその意味が分からないはずです。こういう人たちは自分が正しいと強く思っている、もしくは思い込んでいる状態です。こういう人たちのことを「自己陶酔状態」といいます。
この「自己陶酔状態」について、【7つの習慣】という有名な本の著者でもあるスティーブン・R・コヴィーさんは、「今が楽しいかどうかで、人生の全てを解釈し、評価してしまっている」と言っています。
ここでちょっと想像してみてください。例えば、A子さんとB子さんの2人の女性がいるとします。そして2人とも同じ25歳という年齢です。仮にA子さんは過去一度も異性とお付き合いをしたことがない、おデブさんとしましょう。何度かダイエットに挑戦したことがありますが、長続きせず、すぐに挫折してしまいます。そしていつもダラダラとソファーに寝っ転がってスナック菓子をボリボリと食べながらYouTubeばかり見ています。
そんなA子さんに対して友人が
「もし、この一ヶ月間、お菓子を全く食べずに我慢して運動を続ければ、男性から『カワイイ』『キレイ』『最近ステキだね』と、絶対言われるようになるから頑張ってダイエットしてみない?」
と言ったとしても、特に心に響くことはなく、たぶん行動しないと思います。おそらく「あたしがそんなこと言われるなんてありえない!」と言うでしょう。
一方、B子さんも最近は運動することがなく、友達との付き合いで頻繁に食事や飲み会に行くことが多くなりました。最近はちょっとグータラな生活が続いてA子さんのような生活スタイルになりつつあります。しかも、見た目でも分かるくらいに太ってしまって、つい先日、友人に「最近太ったよね」と言われてしまいました。
ですが、B子さんは過去に何度かモテた経験があり、男性から告白されたこともあります。もし、ここでB子さんに「1ヶ月間がんばれば男性からモテて、告白されるようになる」と言ったら、おそらく「よし!ちょっとがんばってみようかな!」となると思います。
あなたは、この2人の違いが分かりますか?それは未来をイメージできているかどうかということです。つまり一度経験することによって、その行動を起こすことがどのようなことにつながるかを知っているため、未来を具体的にイメージすることができるのです。
A子さんには「モテる」という経験がないので具体的な未来予想ができず、ダイエットをすることでどういった感情になるのか、ダイエットすることで自分にどんなメリットがあるのか、ダイエットすることでどのような変化が起こるのか、楽しいのか嬉しいのかが分かりません。
つまり、今の現状のような「ダラダラする」といった現実しか知らず、それ以上の満足感を知らないのです。ですので、頑張ればもっと満足感を得られるかもしれないのに、今の現状で満足してしまっているのです。
逆にB子さんはモテた経験も、男性とお付き合いした経験もあるため、頑張ってダイエットすると、どのような結果が待っているのかを安易に想像することができます。そして今のダラダラした生活とダイエットしたことによって得られる満足感を比較することができるので、すぐ行動に移すことができるのです。
もし今のあなたが現状に満足しているなら、A子さんと同じ状態に陥っている可能性があります。
イギリスで有名なファッションモデルであるケイト・モスという方の言葉で、「どんな美味しいものを食べたって、痩せているという快感には敵わない」という名言があります。これはつまり、今頑張って後で満足するか、それとも今この場で満足して終わるかの違いということなのです。
この言葉に非常に似た言葉を19世紀イギリスの有名な哲学者のジョン・スチュアート・ミルが残しています。それは「私は満足する豚よりも不満足な人間の方がいい」という言葉です。
実は人間には「質の高い満足」と「質の低い満足」というものが存在します。多くの人は「質の高い満足」を知らないことで「質の低い満足」で満たされてしまっている可能性があります。つまり、うまくいかない人や成功しない多くの人はその考え方で凝り固まっているのです。もっと分かりやすく言うと、貧乏な人はお金持ちの満足感を知ることができないということなのです。
もし「今のままで満足」「現状満足」という人はそれでもいいと思います。ですが、短い人生の中で今変われなければ、この先も一生変わることなんてできないかもしれません。少しでも「変わりたい!」という気持ちがあるのなら、「明日からやればいいや」ではダメです。少しクサい言葉かもしれませんが、今日頑張る人に明日があるのです。
もしあなたにも思い当たる節があるなら、もしかすると長期的なことを考えられず短期的なことだけに目が行ってしまっていたり、自分のことしか考えられずに「自己陶酔状態」に陥っている可能性が高いです。
現在のあなた自身に、欠乏感や何かが足りないと感じていたり、何かに取り組む必要があると感じているなら、言い訳をせずに今すぐに行動してみてください。
多くの人は「今は時間がないから時間に余裕ができたら取り組もう」といって行動しないことが非常に多いです。これは大きな間違いであり一種の病気でもあります。実はこの考え方をしているうちは、いつまでも行動を起こすことができません。つまり考え方を変える必要があるということです。
8、お金と時間とエネルギーの考え方
「自己陶酔状態」の話を聞いてもイマイチ実感が湧かないという人もいるかもしれませんので、現実味が湧くように、少し質問を変えてみましょう。あなたは自分自身でこれらの時間を把握していますでしょうか?
・一日にSNSを見る時間
・テレビやYouTubeを見る時間
・アプリゲームやテレビゲームをする時間
・休日にゴロゴロしている時間
・友人とLINEをしている時間
・友人と食事や飲みに行く時間
これらの時間を仮に月単位、年単位、10年単位で計算したら一体どのくらいになるか考えたことがありますか?現代において時間を消費する1番の原因がスマホであることは間違いないですよね。今の時代に生きる人は、ほぼ中毒と言っていいほどずっと見てしまっています。
このようにスマホを頻繁に見てしまっているという方に向けて、今度は「お金と時間とエネルギー」というテーマでお話していきます。また、このお話をきっかけにして、これからぜひ『エネルギー』という言葉を意識しながら生活してみてください。
エネルギーというと少しスピリチュアルに思われたり、頭がおかしいと思われる方もいるかもしれませんが、私たちの日々の生産性を上げ、クオリティを高めるために大切なものです。世の中は、このエネルギーが循環することによって成り立っています。
よくエネルギーというのは資源であり、エネルギーには限りがあると昔から言われてます。これは人間の持っているエネルギーも同じことです。1日の中でエネルギーが生まれ、そして消費していきます。無限には存在しません。そして基本的に現代に生きる人々は無意識にこのエネルギーの奪い合いをしています。
例えば、SNSで他人が旅行に出かけた記事や、何かのイベントに出かけた記事をあなたが見たとします。羨ましく思って「いいね」を押したり、逆に妬んで嫌な気分になったりすることによって、その人にエネルギーを奪われています。反対に「いいね」をもらったりコメントをもらった本人は、あなたからエネルギーを奪っているのです。
これがなぜエネルギーの奪い合いになるのかというと、そこには【感情】が生まれているからです。羨ましい、嫉妬、嬉しいなどの喜怒哀楽、その感情によって人と人の間でエネルギーが行き来しています。
とくに怒りという感情はものすごくエネルギーを消費してしまいます。恋人や家族内で口ケンカをして、そのあとしばらく気力が無くなりヘトヘトになるという経験をしたことはありませんか?これも同じことで、つまりはSNSなどを見ることによって使わなくてもいいような無駄なエネルギーを消費しているということになります。
本来、私たちには1日のエネルギー量に限界があります。そのエネルギーの一番多い時間帯が朝です。それは寝起きの状態では、なんの感情にも晒されていないからです。朝の時間帯が一番エネルギー量が多いMAXの時間帯なのです。そこから徐々に感情にさらされて、エネルギーを消費していきます。
1日のエネルギーの使い方の上手な人は、この朝の時間に一番大切な仕事をすることで効率の良い流れを作ることができています。長期的に続けていく必要のあるレバレッジのかかった習慣を朝に行なっていくことが一番のポイントになります。そしてエネルギーの無くなってきた午後から夕方にかけて所用や雑務などを済ませるようにしていきます。
そんな貴重な朝の時間にSNSやYouTube、ネットニュースなんかを見ることで感情を動かされて、無駄なエネルギーを使ってしまっては、その後1日のパフォーマンスがもったいないくらいに下がってしまいます。これが一番の時間の無駄遣いなのです。一日の中で、エネルギーをどこで使うかこそが成功するためにとても重要になってきます。ここで周りとの差ができ、収入も大きく変わってくるのです。
これはLINEやメール、電話も同じことが言えます。朝に大切なことをすることは、外部からの連絡が来にくい時間帯であり集中力が増すという利点もあります。家で仕事をする場合は、家族の邪魔が入りにくい時間帯でもあるのです。
最近では時間管理術というような時間に関する本が多く出版されています。そのような本を何冊か読んで見ると新たな発見があると思いますが、まずは自分自身の時間への考え方を変える必要があります。時間はお金よりも大切であり『命』であるという認識を持ってほしいのです。
時間を学ぶということは人生を学ぶということでもあります。時間の使い方については学校や塾で教えてもらえるものではないので、自ら学びに行くことでしか知る方法はありません。昔はよく『時は金なり』と言ったり『タイムイズマネー』という言葉がありましたが、最近では『時間は命』『タイムイズライフ』と言う人が増えてきているくらいです。
これはある投資家の方がおっしゃっていたお話で、非常に納得してしまったお話なのですが、仮にあなたの口座に『毎日86400ドル』つまり日本円にして約900万円が毎日勝手に振り込まれるとしたら、おそらく毎日使い倒そうとするはずです。
ちなみに、そのお金は自由に使えます。ですが、もし使いきれなかったとしたら翌日には持ち越せません。つまりは、残った分は消えてしまうとします。この場合、おそらくあなたは全てのお金を使い切ろうと必死になるはずです。
しかし、これを時間に置き換えてみた場合はどうでしょうか。現実には、誰もが平等に『毎日86400秒』つまり24時間が毎日与えられています。当然、先ほどの86400ドルのお金同様に翌日には持ち越せません。86400ドルの場合であれば全てのお金を使い切ろうと必死になるのに、ほとんどの人は86400秒という時間を必死で使い切ろうとしていないのです。
もし仮にあなたの財布からお金を取る人がいれば怒り狂うはずです。それが親しい人でもきっと怒ると思います。ですが、誰かから電話やLINEがきて、遊びや飲み会などに誘われても怒り狂うことはないはずです。これはお金を取られるという感覚はあるのに、時間を取られるという感覚がないからです。(よっぽど自分が退屈な場に呼ばれたのであれば別だと思いますが・・・)お金は取り返すことはできますが、時間は取り返すことはできません。そしてお金は貯めることができますが時間は貯めることはできないのです。
人は普段の生活の中で、探しものに1日平均30分使っていると言われています。つまり、年間に換算すると『150時間』に相当するのです。これをサラリーマンの平均労働時間に換算すると、ほぼ1ヶ月探し物をしている計算になります。
リモコンを探したり、家のカギを探したり、スマホを探したり、サイフを探したり、こういった目に見える物体を探すこともそうですが、もちろんパソコンやスマホ内に入っているデータ類などを探すことでも同じことが言えます。普段の探し物なら数分なので大したことないと思われがちですが、積み重ねると莫大な時間になってしまいます。つまり、モノを探すことに命をかけているということなのです。
また、人間の寿命を80年とした時に、一生の中での時間配分を換算した平均データがあります。まず睡眠に約28年、仕事に約10年と半年、SNSやインターネット・TVに約9年、通勤・通学に約1年4ヶ月。これらの時間を引くと80年ある中、残りはたったの9年になってしまいます。つまり、人生の中で自由に使える時間はたったの『9年』しかないということです。この数字を聞いてあなたはどのように感じたでしょうか?長く感じましたか?それとも短く感じましたか?
もしあなたがこれから生きていく上での未来予想図をしっかりと描いているのであれば、「いつかやれる」「いつかやろう」ではなく、今すぐやるべきなのです。「仕事で忙しいからできない」とか「家事や子育てで忙しいから」と言う人がいますが、それはみんな同じであって、成功している人というのはそれをどこかでうまくやりくりしているから成功しているのです。
また、「今の生活がひと段落したらやりたいことに取り組もう!」という人もいますが、それはいつの話になるのでしょうか?現代に生きる同じ日本人であれば基本的にライフスタイルは一緒のはずですから、違うところと言えば時間に関する知識を持っているか持っていないかの違いなのです。つまり、自分たちでどう時間を管理していくかしかないということです。
できればこれからは、SNSやYouTube、テレビを見る時間をなるべく減らしてください。現在では若い人たちのテレビ離れが始まり、YouTubeが主となっています。その影響で、YouTubeの広告の需要が以前と比べて劇的に増えています。ちなみにテレビの80%以上が宣伝で成り立っています。CMももちろん広告なのですが、その他にも例えば、お昼の帯番組であれば番組内で紹介されているもの全てが宣伝です。
「今〇〇のお店の〇〇が流行りです」「ここの〇〇の食べ物が美味しいです」「今流行のファッションはこの店に売っています」など・・・全てが宣伝になっています。そしてそこで意識を逸らされ、また感情が揺さぶられているのです。付き合いや、家庭環境もあると思いますので完全に「見るな!」とは言いませんが、見る時間をできるだけ減らしてください。
1日は24時間です。24時間しかありません。この24時間の積み重ねこそが自分の人生そのものなのです。これは全世界中の人々共通です。どんなにお金を持っている資産家でも時間だけは得ることができないため、最後には不老不死を願うといいます。借金まみれの貧乏でも、子供でも、大人でもそれは変わりません。みんな同じなのです。
どれだけ無駄な時間を削って、どれだけ大切なことに時間を割けるのか・・・その時間をいかに有効に使うか・・・これからはエネルギーという概念を踏まえた上で、よく考えて行動するように心がけましょう。
それではここから、時間を有効活用するためのエクササイズをしていきましょう。私もジュエリーデザイナー兼グラフィックデザイナーをしているので分かりますが、作業時間を捻出するには工夫が必要になります。
まず【エクササイズ その1】として、時間を可視化するための「生活グラフ」を作ることから始めます。面倒くさいかもしれませんが、月曜日から日曜日までの一週間、朝起きてから夜寝るまでの一日の行動を、一時間ごとに何をしているか具体的に紙に書き出してグラフや表にしてみてください。
すると、ハンドメイドに関係のない時間が浮き彫りになります。その中で空白の時間だったり「これは無駄なんじゃないか?」という時間が見えてきます。例えば、平日の夕食後、毎日9時から10時の間にドラマを見ているとします。そのドラマは目的があって見ているのか?それともなんとなく見ているのかを精査してみてください。もしなんとなくて見ていたものであれば、その時間を削るだけでもかなりの時間を捻出できます。
続いて【エクササイズ その2】として、習慣化をゲームにするということです。時間を捻出するために、とても大切なことがルーティン、つまり習慣化です。多くの人は、大変なことや面倒くさいと思うようなことを習慣化できていません。そのため、続けることができなくなって挫折してしまうのです。
三日坊主という言葉がありますが、ダイエットに失敗する人も、この習慣化ができなくて挫折している典型的な例です。最初はどうしても辛いと感じてしまいますが、続けることで慣れていき、習慣化することができます。これを、毎日歯磨きや、お風呂に入るくらいにまで習慣化させてしまえば、なんの苦にもならなくなります。
SNSやブログの投稿に何時間もかけている人も同じです。最初は時間がかかってしまってイヤになってしまうかもしれませんが、継続することで徐々に時間をかけずにこなすことができるようになります。継続するコツとしては、仮にSNSやブログを継続したいのであれば、日々の生活の中からゲーム感覚でネタを探すことです。
まずはアンテナを張る習慣を立てることから始め、ネタを見つけたらすぐにメモをする癖をつけます。わざわざネタを探そうと意気込むのではなく、空いた時間で見つけようくらいの気持ちで普段から下準備をしておきます。その下準備をしておけば、実際にSNSやブログを投稿する際にはササっと投稿できるようになるはずです。
このように、時間を捻出しようというマインドを持って行動することで、気づいたらいろんなことをこなすようになっています。今回のお話しによってあなたの人生が良い方向へ大きく変わることを願っています。ぜひ参考にしてください。
Part3ハンドメイドで売上をUPさせる8つのテクニック
1、出品や出店で陥りやすい罠
基本的にネットショップは24時間365日稼働させることができるビジネスのため、放っておけば自然と売れていくというイメージを持つ方が多くいらっしゃるかと思います。自分が何もしなくても、お客さんから注文を受けることができるので、一種の自動販売機のような感覚でネットショップを開く人も少なくありません。
出店先として有名なところは、楽天市場・Yahoo!ショッピング・Amazonなどのショッピングモール、minne・Creema・iichiなどのハンドメイドマーケット、BASEやSTORES.jpなどのECサイト、メルカリ・ラクマ・PayPayフリマなどのフリマアプリといったものがあります。
初心者の場合、このようなプラットフォームに出店・出品するとバンバン売れていくようなイメージを持っていたりしますが、実際に出店してみてガッカリする方も多いのではないでしょうか。カンタンに出店できる手軽さと、商品販売の難しさのギャップに心が折れてしまうのが現状です。
というのも、それはECサイトやショッピングモールならではの『落とし穴』にハマってしまっていることが原因です。一般的にショップを開くというと、仕入れをして販売する小売業をする方と、ハンドメイドの作品を売る作家さんやファッションデザイナーさん、ジュエリーデザイナーさんなんかが多くいらっしゃるかと思います。今回のお話では、その作家さんやデザイナーさんと、主に仕入れて販売する小売業をしている方とを比べて売上げが上がらない理由を分析してみましょう。
当然ですが、小売業をしている人の場合、販売者が商品を制作しているわけではありませんよね?基本的には既存のものを仕入れて販売する形になります。そのため「売れない」と感じた時にどうするのかというと、販売している商品が悪いとは思わずに売り方が悪いんだと感じて、他の販売方法を模索する方が多いです。
例えば、他店ではそれなりに売れている既存の商品が、自分のお店だけ売れなければ、売り方が悪いという考え方ができます。ですが、ハンドメイドの場合は基本的にオリジナル商品なので、売れない場合、自分の作品に問題があると勘違いして作品を作り直してしまう傾向にあります。いつまでも作品の品質が悪いとかデザインが悪いとか使い勝手が悪いと思い込んで、販売方法が悪いという風に考えにくいのです。
実は、モノづくりをしている人と、小売業をやっている人とでは、ここで大きく考え方の差があらわれてきます。なぜなら、商品に目を向けるのではなく、売り方にフォーカスすることができれば、お客さんが何を求めているかということへ直結して考えることができるからです。つまり、作家さんやデザイナーさんというのは作品ばかりに目がいきがちになってしまってなかなかお客さん視点に立つことができないのです。
そしてインスタグラムやツイッターなどで、他の人がアップしている投稿の画像や動画を見て、「こんな風に作ればいいのか」とか「こんな風にデザインすればいいのか」と言って、また作品制作を始め、その作品をハンドメイドマーケットなどへ販売して「また売れない・・・」という負のスパイラルにハマってしまうことが往々にしてあります。売れないと悩んでいる人は、このループから抜け出せていない可能性が高いのです。
実際に私も、このループにハマり込んでしまい、長い年月抜け出せない状態に陥っていました。一番理想的なのは初心者の段階で、この間違った「思い込み」をしないということです。
多くの作家さんやデザイナーさんの1番の思い込みは「作品を作れば売れる!!!!」と勘違いしているところです。これはほとんどの人が最初にハンドメイド制作を学んだ時に、刷り込まれる思い込みの1つです。実は商品が売れる売れないは品質やクオリティとはほとんど関係ありません。
これがなぜかというのは、またいずれ詳しく話していくのですが、基本的に教室などハンドメイドを作ることを教える側の多くは、SNSの投稿の仕方とか、ハンドメイドマーケットやECサイトなど、どこで販売していけばいいのかという登録方法などをノウハウとして教えているところがほとんどです。
そして、その次に何をするかというと、こういったプラットフォームで販売するにあたって、どのように出品すればいいのか、そしてどうやったら綺麗な写真を撮ることができるかという段階に入ります。
ですが、ここで多くの人が刷り込みをされています。商品を出品する際は当然、出品先の説明を参考にして商品を出品しますよね?基本的に作品の制作を教えている教室の先生も、この出品先の説明に従って登録方法や出品の仕方を生徒さんに広めていると思います。例えば、有名なハンドメイドマーケットからは本も出版されてますし、インターネットからでも出店方法に関して情報がワンサカ出ています。
ただ、これだけは覚えておいてほしいのですが、主に「商品を販売する出店先」が説明している内容というのは、すべてあなたの売上げを上げるためではなく、その出店先のサイトを盛り上げるためであって、もっと言えばそのサイトが儲かるためにやっているということを肝に銘じておいてください。もちろんこれはハンドメイドマーケットだけではなく、大手ショッピングモールやフリマアプリなどもすべて同じことが言えます。
多くの人が、販売先であるECショッピングモールやハンドメイドマーケットが配信している情報=売れる方法だと思い込んでしまって実践しているのです。たとえそれが、本当は遠回りの方法だったとしてもです。確かにプラットフォームというのは販売するための1つのツールとして考えることは間違いではありませんし、どんどん使っていくべきだと私も思います。
ですが「それが全て」と思ってはダメです。リスク分散を前提として販路を増やすという考え方が重要になります。例えば、仮に今あなたが、ハンドメイドマーケットで商品を販売していて、いいね!がたくさんついてフォロワーがたくさんいるとして、来月から販売手数料を25%に引き上げるという通告がきたらどうしますか?
これは幻想ではなく、今後長い目で見れば十分にあり得る話です。大切なのは、いかに自分たちがそこに気付き、そのステージから「脱出」できるかが問題であり、自分の殻に閉じこもっていたら絶対に気づけない領域です。
また、販路を増やすうえで、もう1つ問題があります。大手ショッピングモールでの販売は、逆にブランドの質を下げる可能性もあるということを肝に銘じておきましょう。人の目につきやすい大手ショッピングモールを使えば、たしかに多くの人の目に触れて、購買につながるかもしれませんが、同時に質の低いお客さんも集まってきやすくなります。
例えば、ハンドメイドマーケットで買い物することは、お客さんにとって「ハンドメイド商品を買う」という認識で購入します。ですが、大型ショッピングモールでは「既製品を購入する」という認識が一般的です。
なので、「少しでも不備があれば返品できる」という考えの人がかなり多いことがわかります。特にハンドメイド商品では、「写真と形、色、大きさが違う」といったクレームが起こりやすいのが現状です。また、現代では翌日配達が当たり前になってきているため、ハンドメイドなどで受注制作をしてしまうとクレームに繋がりかねません。
私の経験上、ハンドメイドマーケットでもお届け日に関する問い合わせはありますが、大手ショッピングモールではそれ以上に多く、中には「発送までにこれだけの日数がかかる」と事前に言っていたにも関わらず、注文してしばらくしてから「●日ではなくもっと早く届けなければキャンセルする」と脅してくるお客さんもいました。
あなたは、そのようなお客さんを求めていますか?おそらく求めてはいないはずです。だからといって在庫を抱えるというのも厳しいですよね。受注制作できるのであれば、それに越したことはないはずです。その点、ハンドメイドマーケットで購入するお客さんは事前に手作りであるという認識があるため、ある程度の日にちは待ってくれます。
さらに、価格面での問題もあります。大手ショッピングモールで購入するお客さんというのは安いものを購入したいという意識がとても強いです。おそらく8割のお客さんが安いものを購入したいという気持ちでお店を見ています。そのため、どうしても価格競争に陥りやすく安いものしか売れない傾向にあります。
その反面、ハンドメイドマーケットへ見に来るお客さんはハンドメイドというところに価値を置いているので「安いから買う」というよりも、「この作家さんが好きだから買う」「このデザインが好きだから買う」というお客さんが多いのです。ですので、販売する場所や価格帯はとても重要になってきます。
また、「ハンドメイド作品の販売先の選択肢にフリマアプリはどうか?」という質問がよくあります。中にはフリマアプリで販売している作家さんもいらっしゃるようです。フリマアプリで販売することは必ずしもダメではありませんが、依存することは危険だと考えています。これには先ほど挙げた理由とも重複する部分がありますが、大きく分けて4つの理由があります。
まず、1つ目の理由として購入者の質が悪いことです。フリマアプリ自体が中古品・リサイクル品を扱っている傾向があるため、買い手もそのつもりで閲覧している方が多いのが現状です。仮にフリマアプリにハンドメイド作品を出品するとなると、買い手は中古品感覚であなたの作品を見る場合もあるでしょう。そうなると必然的に安価にせざるを得なくなります。また、その流れから、クレームがつきやすかったり、質の悪いお客さんを招くことにもつながります。
2つ目の理由は、評価です。現在では、口コミ・レビューが当たり前になってきていて、どのショッピングサイトでもレビューや評価ができるようになっています。ただし、ここで注意してもらいたいのがプラットフォームごとにレビューの概念が違うということです。
ハンドメイドマーケットのレビューはどちらかというと対応の温かさや商品の質、デザイン、もしくは制作者のブランディングが反映されていると言えます。逆に大手ショッピングモールやフリマアプリなんかは、もちろん商品のクオリティもありますが、対応の早さや商品の使い勝手を主に重視しています。そうなると先ほども言ったように質の悪いお客さんが集まる傾向にあることを合わせると、ハンドメイドという特性上、必然的にレビューも悪くなりやすいです。
また、フリマアプリの場合は販売者が購入者に対しても評価を付ける事ができます。他ではあまり見かけないシステムですが、これについては賛否両論あるでしょう。意外に思うかもしれませんがハンドメイド作家側からしてみると、あまりよろしくないように思います。
なぜなら、販売者が購入者に対して評価ができるようになると販売者が傲慢になってくる可能性があるからです。販売者も評価できるという気持ちでは、どうしても強気な態度になる人も出てきます。「販売してやっている」と感じてくるようになるのです。
というのも、現代では時間に対する考え方がものすごくシビアになっています。例えば、利用されている方も多いと思いますがアマゾンなんかでは当日配達などもあります。これが当たりまえになってくると、人は少しも待つことができなくなり、待つことに対して大きなストレスを感じるようになります。これはハンドメイド業界では致命的です。常に在庫を持っていないとやっていけない状況になるからです。
当然この場合は購入者から販売者にかけて「遅い!」というレビューがつきます。しかしメルカリの場合この逆があり得ます。私は基本、雑誌やビジネス本などは中古で購入することが多いので、頻繁にメルカリを利用しています。先日もメルカリで中古の雑誌を購入しました。基本的に本の場合はポスト投函が多いと思います。
しかし、このタイミングで知人に不幸があったため、数日の間、家に帰れないという事態になりました。数日後に帰宅した際にポストに雑誌が届いていたことが分かり、中身を確認し、お礼を書いて「満足」のレビューを書きました。すると、相手からはこんな評価が送られてきました。「返信が遅く、評価も遅かったので低評価にします」と・・・本来であればハンドメイドの業界しかり、ビジネス全般で考えても、販売者が購入者の都合を考えずこのようなコメントを書くことはまずありえません。これはブランディングとは逆の行為と言わざるを得ません。
つづいて3つ目の理由になるのですが、フリマには「せどり・転売」をしている人が多数存在するという事です。この人たちはレビューを多くつけてもらうことにかなり躍起になっています。そのため、販売者でも関係なく「早く高評価レビューがほしい!」という感情に覆われています。
ハンドメイドマーケットを利用している方はあまり親しみがないと思いますが、現代ではレビューの売り買いというのが存在します。要は、お金を払ってレビューを書いてもらうということです。大型ショッピングモールなどでも、いわゆる『サクラ』が書いたレビューでテンコ盛りです。
確かにレビューは貴重です。ですが、ハンドメイド作家の本来の目的は、自分の作品が相手に真に喜ばれるかにフォーカスすることです。レビューを手に入れることしか見えなくなってしまっては本来の目的とズレてしまいます。フリマアプリのレビューシステムに慣れてしまい、このような感覚に陥ると思うとデメリットしかありません。
そして最後の4つ目の理由は、お客さんを抱え込めないことです。要は「ファン化」しにくいということです。この「お客さんを抱え込めない」ということに関しては、大型ショッピングモールやハンドメイドマーケットなどでも同じことが言えるのですが、再アプローチができないという点です。
特にフリマアプリやオークションサイトなんかは一度購入してそれきりという流れが当たりまえです。そうなると新作の案内など到底できません。ビジネスやマーケティングではリピートが命といってもいいです。基本的にはリピートを繰り返してもらうことが、本来のビジネスでは理想的な流れなのです。
そして最終的にはコミュニティなどを作り、あなたのファンになってもらえれば尚良いでしょう。フリマアプリや大型ショッピングモール、ハンドメイドマーケットでは仕組み的にこの流れを作ることが非常に難しいのです。ほぼ不可能に近いでしょう。リピーターを作りにくいことはビジネスにおいては絶望的です。これはあなたのハンドメイド作家生命の存続に関わります。であれば、あなた独自の媒体を持って、お客さんを引き込める手段を構築しておくことが重要です。
以上の4つの理由からフリマアプリに依存することは危険です。現在すでに販売している方については販売をやめることはありませんが、他の販路も視野に入れて活動することをオススメします。
さらに補足として、インスタグラムなどのSNSとブログとではお客さんの購入率が違います。仮に、インスタグラムのプロフィールからあなたのショップへ見に来る人が1週間に1000人いて、ブログからの見に来る人が1週間に500人いた場合、一見するとインスタグラムから来る人が多いので、購入率が高そうに思えますが、例えば、インスタグラムでの購入が10人、ブログからの購入が50人というような意外な数字が出る可能性があります。これは、SNSから来るお客さんとブログから来るお客さんの質が違うからです。
どういうことかというと、ご自身の行動を思い起こしてみると分かりやすいと思いますが、インスタグラム経由でショップサイトを見にくる人というのは、自分から商品名やショップ名を検索しているのではなく、基本的には偶然投稿を見てショップに入ってくることが大半です。つまり受動的なお客さんということになります。
対してブログ経由でショップサイトへ入ってくるお客さんというのは、検索エンジンで自分に必要な情報を検索して入ってきたお客さん、つまり能動的なお客さんということになります。
受動的な人というは、いわゆる「見てるだけ」という場合が多いですが、逆に能動的な人は購入する意欲が高いといえます。もちろん全てのお客さんがこの法則に当てはまるというわけではありませんが、割合として多いということだけ覚えておきましょう。
これまでさまざまな例をお話ししてきましたが、販売するならどこでもいいというわけではなく、自分に合った販売先や情報発信先を精査する必要があります。さすがに、砂漠のような誰もいない場所に店を構えるというのは、あまりにも言い過ぎですが、多くの人が見に来るからといって、そこがあなたにとって適切な販売場所であるかは別な話なのです。
まずは、自分に合った販売先を探すことから始めましょう。販売できそうなプラットフォームにはすべて登録して販売していくこともできますが、商品数が増えるたびに管理が大変になっていくので、最初は試す程度にやってみて、自分に合わないと感じたらやめるくらいの感じで取り組んでみてもいいと思います。販売先をしっかりと精査したら、そこからお客さんにアピールするためのブランディングを行なっていきましょう。
ではここで、各販売先のご紹介をしたいと思います。まず、ハンドメイドマーケットに関しては代表的なminne,Creema,iichiにプラスしてBASEを加えた計4社の特徴や手数料、登録の手順、出品の手順まで解説したコンテンツを下に作成しましたので、ぜひ活用してください。
つづいて、大手ショッピングモールである、楽天市場、Yahoo!ショッピング、auPAYモール、Amazonの計4社の料金プランの比較解説と、資料請求から申し込みまでの流れまでを下にまとめました。こちらの4社に関しては審査が必要になりますので少しハードルは上がりますが、参考にしてみてください。
また、私が開講している講座では、独自で販売するためのEコマースサイトを厳選して徹底比較している企画もありますので、ご自身に合った独自のネットショップページをチョイスすることができます。
2、人は何にお金を払うのか
このタイトルの質問をされて、あなたはどのように感じましたでしょうか?お金を使うのは「必要なもの?」「欲しいもの?」このように答えた人もいらっしゃるのではないでしょうか?ここで、実際にご自身がお金を払っているものを思い出してみてください。
というのも、日用品のような必要最低限のものだけではないはずですよね?また、形あるものだけにお金を使っているわけではないはずです。
あなたはマズローの五段階欲求説というもの聞いたことがありますでしょうか?これはアメリカの心理学者であるアブラハム・マズローという方が考案した心理学理論で、ビジネスやマーケティングの戦略を立てるときに重要視されるものです。
人の欲求にはピラミッド状に階層が存在して5つに分かれているといわれています。実はもっと細かく分類できるのですが、今回は基本的な5段階で説明したいと思います。
まず5段階の一番下が生理的欲求。これは食欲、睡眠欲、性欲、呼吸、排泄といった生き物であれば必ず持っている最低限生命を維持したい欲求のことです。お腹が空いた、眠い、トイレに行きたいというのは、この生理的欲求が働いているからです。ピラミッドの一番下の階層なので、5つの欲求の中で一番欲する人が多いということが言えます。
次の下から2番目は安全の欲求です。これは安全に暮らしたいという欲求で、家や最低限の生活をすることができることを望むものになります。病気や不慮の事故などに対する保険をかけようとするのも、この安全の欲求を満たす要因です。生理的欲求の次に欲する人が多いということになります。
下から3番目が社会的欲求もしくは帰属欲求です。これはどこかに属していたいという欲求で、仲間を作りたいと望む欲求です。学校や会社でにいれば仲間外れにされるのを恐れて、どこかに属していたいと感じるのがこの欲求になります。
4番目は承認欲求です。これは誰かに認めてもらいたいと思う欲で否定されたくないとか否定されることでイラッとするのはこの欲があるからと言われています。有名になりたいという欲や、名声や地位を求める「出世欲」もこの欲求になります。つまり他人からの評価が気になるのは、すべてこの承認欲求が影響しています。
最後の5段目は自己実現欲求です。これは自分の能力を発揮して夢を実現させたいと思うことです。「自分にしかできないことを成し遂げたい」「自分らしく生きていきたい」という欲が、この自己実現欲求になります。
これらの5つの欲は人間誰でも持っていると言われています。そのため、昔からよくマーケッターの中では「商品を販売する際にはマズローを意識して、下から順に満たしてあげること」というように言われ続けていました。これは決して間違いではありません。
ですが、ここで1つ問題があります。というのも、このマズロー5段階欲求は1943年に論文で発表されたものです。つまり今から80年くらい前のものになり、今とは時代が全く変わっています。
80年前だと、モノ自体が少なかった時代ですし、戦争も起こっていた時代ですので、この頃は、ほとんどの人が生理的欲求もしくは安全欲求を満たしたいと思っていたと言えます。つまり、お金も食べ物も住む場所もロクにない時代ですので、モノさえあればみんなが欲しがっていたということです。まずは生きるための安全を確保することが最優先だったわけです。
ですが今の時代はどうでしょうか?特に日本ではあらゆるものが手に入るようになっていますので、特に生活に困るようなことはないといってもいいでしょう。つまり、ほとんどの日本人は生理的欲求や安全欲求は、すでに満たされているということです。
では、その2つの欲求が満たされれば次はどうなるかというと、帰属欲求と承認欲求を満たしたいということになるのです。要するに、今の日本で生理的欲求や安全欲求を訴求した方法でモノ売ろうとしても、みんなそこにお金を使わなくなったということなのです。逆に戦争があったような頃に、帰属欲求や承認欲求に訴えるようなものを売っていたとしても、売り上げにはつながりにくいということなのです。
最近の日本では自己啓発やスピリチュアルな話、中には都市伝説のような陰謀論が流行っていますが、これはこの生理的欲求や安全欲求がすでに満たされ、帰属欲求と承認欲求を満たしたいという人が多いからなのです。つまりは形あるものにお金を使うよりも、形がないものにお金を使うことが多くなってきていると言えるのです。
例えば、分かりやすいのがディズニーリゾートに何度も行くというのは形あるものにお金を払ってないですよね?これは何にお金を払っているかというと「体験」というものにお金を払っています。旅行やエステ、ライブ、バンジージャンプなども体験ですよね。
そして先ほどのスピリチュアルで言えば、悩み解決のセラピーやコミュニティにお金を払っています。これらは全て体験であり、つまりは帰属欲求と承認欲求を満たすためのものです。また、典型的なのが、インスタグラムやTikTok、YouTubeなどのSNSで投稿や配信をしている人たちも、すべてこの承認欲求を満たすために行なっています。
ちなみに、生理的欲求と安全欲求というのは、形ある物でしか満たすことができませんが、帰属欲求と承認欲求は情報や体験で満たされることがほとんどです。つまり。現代においては大半の人が体験に価値を置いているため、帰属欲求と承認欲求が物で満たされることはごく少数に限られています。
ごく少数というのは、例えば高級車のフェラーリ、エルメスやヴィトンなどのブランド物のバッグや財布、オメガやロレックスなどの腕時計です、これらは、その機能性を求めて買うのではなく、自己重要感を満たすために買うことがほとんどでしょう。この自己重要感を満たすことは帰属欲求と承認欲求を満たすことであるということです。
では、形あるものにお金を払わないのなら、モノを売っているショップはみんなダメなの?モノづくりをしている人はみんなもうダメなの?と思う人もいるかと思います。ですが、カタチあるものを売っていてもお客さんに体験させてあげることはできます。
例えば、ハンドメイドであればハンドメイドフェスタなどのイベントもお客さんにとっては体験になりますし、委託店や実店舗などのオフラインで販売しているのであれば、あなたとコミュニケーションをとることが体験になります。
つまり、お客さんとのコミュニケーション自体が体験であるということです。もちろんオンラインショップでも体験はあります。店員とお客さんのメールやチャットでのやりとりも体験です。お店のイメージはこの体験によって変わります。
SNSなどでこまめに情報を配信している方や、メッセージなどの迅速な対応、お問い合わせなどにも丁寧に対応しているショップのイメージがいいのは、お客さんにとって、この体験が良いものだからです。
そのほかにも体験は多数存在します。
・メルマガやLINE@などでの情報配信。
・商品を選ぶ際のワクワク感
・ラッピングが丁寧でこだわりがある。
・オリジナルでオシャレなショップカードが入っている。
・制作しているところの動画を見ることができる。
・クレーム、返品、交換、修理の対応が親切。
・購入後のアンケート期待
・商品が届くまでの期待感
・商品の満足な使用感
このような内容もすべてお客さんにとっては体験になります。仮にお客さんがこれらの体験を満足に受けることができれば、新規のお客さんなら、そこにお金を払ってもいいと感じて購入してくれる可能性がありますし、既存のお客さんなら、また体験したいと感じてリピーターになってくれる可能性があります。
とくに参考にしてほしいのは、ディズニーリゾートです。ディズニーリゾートに行ったことがある方は分かると思いますが「あなただけは特別」という感じがものすごいです。形に残らなくてもお金を払いたいと思う心理をうまく突いています。人は「あなただけは特別」と言われると、心地よく感じます。これも先程の自己重要感を満たすことと同じです。これが満足する秘訣であり、リピートされる理由でもあります。
これらを参考にして、まずは、あなたのショップの中で、お客さんの体験となるものを探してリストアップしてみてください。また、新たにショップで体験できるものがあるかを考えてみましょう。その体験を見つけたら、自分がお客さんになった時のことを考えて、どうしたらお客さんが満足するか、リピートするか、お金を払ってもいいと思うかを考えて表にまとめてみましょう。
3、売れるデザインの考え方
このテーマでは、まず最初に私のようなジュエリーデザイナーも含め、ハンドメイド作家さんやデザイナー・クリエイターさんたちが陥りやすい間違いを2つお伝えします。
まず一つ目として挙げられることが、ハンドメイド作家さんやデザイナー・クリエイターさんは自分の作りたいものだけを作る傾向があり、お客さんの欲しいものを考えることができないことです。この考え方をマーケティングでは『プロダクトアウト』といいます。悪く言ってしまうと、買い手のことを考えず、売り手側のエゴを押し付けているということになります。この逆の考え方がマーケットインという考え方になります。このプロダクトアウトとマーケットインについて、一般的に言われている意味・概念を簡単にご説明しておきます。
●プロダクトアウトとは?
企業が商品開発や生産を行う上で、作り手の理論や計画を優先させる方法のことです。買い手のニーズよりも、「作り手がいいと思うものを作る」「作ったものを売る」という考え方によるものです。
●マーケットインとは?
ニーズを優先し、お客さんの声や視点を重視して商品の企画・開発を行い、提供していくことをいいます。「お客さんが望むものを作る」「売れるものだけを作り、提供する」という考え方によるものです。
1945年、第二次世界大戦が終戦してしばらくは、物資そのものが不足していました。そのため、プロダクトアウトが主流となり、その頃はどんなものでも売れる時代でした。ですが、現代ではモノが溢れかえっています。物流が盛んになり始めてからは、プロダクトアウトという概念から徐々にマーケットインという概念へシフトしていきました。
例えばテレビ一つにしても、戦後であればみんな同じように、ただ「テレビ」がほしいという欲求でした。ですが現代では、ただテレビが欲しいのではなく、機能や性能、デザイン、ブランドが重視されています。
また、食事に関しても、戦後の頃は食べ物があるだけで満足していました。しかし現代では、食器、季節、文化、郷愁(きょうしゅう)、ブランドなどの要素を求めるようになっています。さらに昔と違って年齢、職業、家庭環境、記憶、経済状況などの枠組みができるようになったのです。
ここ10年で従来の7倍の速度で社会環境が変化していてグローバル化という言葉も、今では珍しくなくなってきました。今の時代は、十人十色から一人十色と言われるようになり、もはやプロダクトアウトの考え方ではモノが売れません。
本来であれば、商品を作ってからマーケティングをするのではなく、マーケティングをして欲しい人がいることを確認してから商品を作ることが重要になります。自分で作った商品は、必ず売れるはずだと思い込み、自分の感覚でデザインやスペック、価格を決定してしまいがちです。
しかし、本来はその商品が売れるかどうかは市場が決めることなのです。リサーチもしくはテスト販売をしてみることで、価格とターゲットを本格的に決めるのが一般的です。お客さんのウォンツとニーズを調べてから販売していくことが真の提供者といえます。
つまり、自分がどう考えているかよりも、お客さんが欲しいものを考えることがとても大切になってきます。ですが、中には自分が作りたいものや、欲しいものを制作して売れることが時としてあります。ただ、それは偶然であって、たまたまその時にお客さんの欲しいものと一致したと考えるようにしてください。有名なアメリカのマーケッターであるダン・ケネディという方がこんな名言を言っています。
「ほとんどのデザイナーは自分の作品に恋をしている。これは大きな間違いである。自分のお客さんに恋をしなければならない。」
そして、もう1つの陥りやすい間違いというのは、作品のデザインが個性的すぎてお客さんに伝わらないといったことです。これはお客さんからして見たら、あなたのデザインが抽象的すぎて共感することができず、購買意欲が起きないというわけです。基本的に人というのは抽象的なものよりも具体的なものを好む傾向にあります。
それはデザインでも文章でも、名前でも全てに共通して言えることです。お客さんがその商品を使うところを想像しやすいか想像しにくいかによって、商品への購買意欲に影響することも分かっています。
何をモチーフにしたのか分からないような複雑な模様やデザインの場合だと、お客さんがその作品を使うシーンを想像できないことがあります。例えば、この2枚の写真ではどちらが抽象的でどちらが具体的なデザインか比べてみてください。ちなみにこれは両方ともペンダントネックレスです。
極端な例ですが、これはアイデアやデザインばかりを気にしすぎて本質を見過ごしがちになっている証拠です。
ここで思い出して欲しいのが、シンプル・イズ・ベストという言葉です。例えば、ネックレスやピアスなどの身に付けるアクセサリーは、凝った複雑なデザインよりも、可もなく不可もないシンプルなものや、定番のものの方が普段使いやすいので、一番売れ行きが良かったりします。お客さんとしても受け入れやすいのです。
とくに、その分野での初心者のお客さんは、最初に何を買って良いのかが分からないため、定番アイテムを購入する傾向にあります。どの分野においても、誰しも最初は初心者なはずです。
これはとても興味深いデータなのですが、ある分野に関しての経験や実績を積み、どんどん詳しくなっていくと、知らないことがどんな状態かをうまく想像できなくなってしまいます。つまり、他人と感覚を共有することが難しくなってしまうということです。
商品を作る作家やデザイナー側も、この現象と全く同じことが起きていて、お客さんの気持ちが分からなくなってしまっているのです。もしお客さんに商品のラインナップを見てほしいと考えているなら、まずはシンプルなデザイン、もしくは定番のデザインで一度お客さんを引き寄せておくのも手です。
そして次のステップとして、自分のこだわりのデザインを紹介するという流れでも、遅くはないでしょう。そうして行くうちに、あなたのデザインに魅力を感じる人が自然と集まってくるはずです。
ちなみに今回お話した、この2つの話に共通することは何か分かりますか?それは「共感」です。お客さんのニーズを考えることやシンプルなデザインにするというのは、販売者側のあなたが、お客さんに共感することで解決する問題なのです。
逆に言うと、この問題が解決すれば「それが欲しかった!」と、お客さんからの共感を得ることができます。ということで、今回は共感力を高めるためのエクササイズを実践していただきます。
まずはエクササイズに入るまえに、現段階で、あなたにどのくらいの共感力があるのかテストしてみましょう。そもそも共感力とは、他人の気持ちを察する事ができ、気持ちに寄り添いながら共有する事ができる力のことをいいます。相手の思っている事を理解して、その上で「わかるよ」「自分も同じ気持ちだよ」と共に感じる事ができる力です。
仕事とはいえ、人と人との繋がりはとても大切ですよね。そのため、相手の気持ちを汲み取る事ができる共感力の高さは、大いに役立つ能力です。共感力が高ければ、誰かの気持ちに同意出来るわけですから、お客さんと仲良くなるのも時間がかかりませんし、コミュニケーションもとても円滑に進みます。
例えば営業の仕事において、お客さんの要望にいかに答えるかというのは、ビジネスの成功にも関わる重要な要素です。共感力が高い人は、自然とお客さんの気持ちを理解できるので、相手が思うような提案を出す事ができます。また、お客さんが気分良く過ごせるような配慮もできるので、交渉が成功しやすくなるのです。
そもそも集客、つまり人を集めるという事は、あなたが好かれる人間でなくてはいけません。そのためには共感力を高めてお客さんの興味を惹きつける必要があります。共感力の高い人は、相手の気持ちを汲み取り共感し、その上で自分の意見を主張する事ができる人なので訴える力も持っています。
つまり、商品説明を見る側のお客さんも、あなたの発する言葉の中に自分の意見との共通点を見いだす事ができれば、自然に受け入れてしまうのです。共感力が高まれば「誰にでも自分と同じ考えや共感できる部分がある」と自然に考えているため、意識をしなくても自分とお客さんとの共通点を見つける事ができます。人の気持ちが分かる人だからこそ、商品説明も心に響くようになるのです。
そこで現時点であなたにどの程度の共感力があるのかが分かる、簡単な「共感力診断テスト」をご紹介したいと思います。今回は簡易的なものになりますが、ご自身の販売スキル状況を把握したい方は一度診断してみることをお勧めします。
ここから実際にテストを始めていきますが、合計で10個の質問をします。「YES」か「NO」で応えて、YESの数がどれだけあったかで診断結果が変わります。
それではスタートです。
1)苦しんでいる人を見るといても立ってもいられず、つい助けたくなる
YES 助けたくなる
NO ならない2)よく人から相談される
YES される
NO されない3)人が嘘をついているのはすぐに分かる
YES わかる
NO わからない4)他人の感情を自分の感情のように感じる
YES 感じる
NO 感じない5)人前で自分の事を話そうとすると、急に声が出なくなってしまう事がある
YES ある
NO ない6)ヴィンテージやアンティーク、ドライフラワーなど残留エネルギー(物や場所に残るエネルギーのこと)が苦手
YES 苦手
NO 好き7)変人、気まぐれ屋、シャイ、気取っているなどと言われることがある
YES 言われる
NO 言われない8)残酷なシーンや暴力的なシーン、自然災害などショッキングなことを見聞きするのが耐えられない
YES 耐えられない
NO 耐えられる9)自分が好きではないことをするのは耐えられない
YES 耐えられない
NO 耐えられる10)人の話を聞いていると、自分が体験したような感覚になる
YES なる
NO ならない
はい、お疲れ様でした。診断は以上です。診断の結果を発表していきますので、YESが何個あったか確認してみてください。
まず、YESの数が0個から3個だった方はかなり共感力が低いといえます。これから行う共感力エクササイズをぜひ実践してみてください。共感力が低いことによって、あなたはお客さんだけでなく、周りの人にこのような人だと思われてしまう可能性があります。
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▼自己中心的な人▼
共感力がない人は、自分以外の他人には全く興味がありません。常に自分の事しか考えずに生きているので、自己中心的な性格になり共感できないのです。
相手が「嬉しいのか悲しいのか」といった感情に、全く興味がありませんので、自分の感情だけを考えて生きています。極端に言ってしまうと、「自分だけが幸せなら良い」と考えているのです。
▼自分をアピールしたがる人▼
共感できない人は、非常に自己愛が強く、自分の事が大好き。そのため、相手よりも自分が優位にいなければ気が済まない性格でもあり、自己顕示欲も強い人が多いです。
どんなに小さな事でも相手より下になったり、負けたりするのが嫌いで、自分が上になる事ばかりを考えているため、相手の気持ちを考える事が欠如してしまいます。
▼思いやりがない発言をする人▼
共感力がない人は、ご紹介したように相手の気持ちに寄り添う事ができません。そのため、「こう言ったら相手はどう思うか」を想像する力が欠如しているので、デリカシーのない発言をしてしまいがち。
また、共感できない人は、自分が発言した言葉で相手を傷つけてしまったとしても、全く関心がないのでどう思われても構わない性格です。
▼他人の価値観や考え方が理解できない人▼
共感力のない人は、常に自分中心で生きていますので、自分の立場を相手の立場に置き替えて物事を考える力が欠如しています。相手の立場で物事を考えられないので、他人がどう考えているかを理解することもできないのです。
ある意味では「自分は自分、人は人と線引きができている」とも言えるかもしれませんが、人間関係の構築は難しくなります。
▼支配欲が強く、他人をコントロールしようとする人▼
相手の気持ちを全く考えない、無視しながら生きているような人になると、相手を「自分の思い通りに動かしてしまいたい、支配下に置いてしまおう」と考えることもあります。
相手が嫌な思いをしていようと、悲しい気持ちでいようともお構いなしで、全て自分の考えだけで物事をやり過ごしたいと考えてしまうのです。共感力のない人の究極の形とも言えるかもしれませんが、実際にここまで発展する人は少なくありません。
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これからこんな風に思われないように、ぜひ共感力アップエクササイズを実践していきましょう!
つづいて、YESの数が4個から7個だった方です。この方は普通の共感力です。可もなく不可もなく共感力をお持ちのようです。とはいえ、もしかするといつも共感しているように装っていますが実は全く何とも思っていないなんてことありませんか?「とりあえず自分が良ければ全てよし」というような少し冷血な一面も持っているようです。
あなたの好きな人を思い描いて、今どんな気持ちかを想像する癖をつけてみてください。また、仲良くなった人だけ共感できて、知らない人に対してはなかなか共感できないときがあるかもしれません。ですが、一部の人とは濃密な関係を築くことができます。
さらには、ときどき自分が共感されないと感情的になる場面もありますのでそんな時は親しい人に気持ちをぶつけてもみましょう。
あとは、たまに相手の気持ちが理解できないこともあるようですので、そんな時は相手の「理由」を推察してみましょう。何事にも理由があり、その人にとってはそれが大事なものかもしれません。それを理解することが共感するということです。
自分が理解できないものに蓋をするのではなく、よく考えることで共感力はさらに高まっていきます。ぜひエクササイズを実践していただき、さらに共感力を磨いていってほしいと思います。
最後にYESが8個以上だった方は、かなり共感力が高いと言えます。相手の視点で物事を考えられる人で、お客さんの要求を想像しながら仕事ができたり、お客さんの要求を先回りした仕事ができたりと、「気が利く」と評価されやすいタイプでしょう。人間力も高く、人間関係も良好なのではないでしょうか。
共感力が高いことで、相手の気持ちに寄り添うことができるのでお客さんはあなたに親近感を抱きやすくなります。つまりはあなたのファンになりやすいということです。神様がくれた素敵なプレゼントを有意義に使うか、それとも無駄にするかはあなたの心持ち次第です。
また、相手や周りを理解するということは、信頼を得ることにもなりますのでリーダーや仲介役にも長けています。ただ、相手を投影しすぎる共感力は、自分を見失わせてしまうことがあります。共感しすぎて侵食されないように気を付けましょう。
まずは、このように自分を客観視することが共感力をさらにアップさせる第一歩になります。ぜひ今回の“気づき”をあなたの今後の人生に生かしてほしいと思います。
以上が、共感力テストの結果になります。
つづいて、共感力を高めるためのエクササイズに入っていきたいと思います。共感力が低い人も高い人も、お客さんと接するときや商品を作るときには、常に今回のエクササイズの内容を意識するようにしましょう。そして共感力を高めていき、ぜひブランディングに役立ていってほしいと思います。
では、さっそく始めていきたいと思います。
共感力を高めるエクササイズ
エクササイズ 1.
相手の立場になって物事を考える癖をつける
共感力のない人は、基本的に自分にしか興味がありませんから、相手の気持ちを考えて生活を送った事が少ないです。
そのため、共感力を高めるには、会話をしている時にも相手が今「悲しいのか、嬉しいのか」を知るために、相手が自分だったらどうだろうと、相手の立場を考えながら会話を進めると、いいエクササイズになります。
話からは気持ちが読み取れない事も多いですが、その場合は相手の仕草や表情なども注意して観察する癖をつけましょう。
エクササイズ 2.
人との会話の中で実際の状況を思い描いてみる
共感力のない人というのは、実は想像力が欠如している人でもあります。想像力がないからこそ、他人の気持ちが理解できないのです。
そのため、想像力をつけるエクササイズをすれば、自ずと共感力を高めるエクササイズになります。誰かと会話をしている時も、ただ黙って聞いているのではなく、頭の中でまるで実況中継をするようにイメージを膨らませてみましょう。
イメージを膨らませながら話を聞いていると、その時のその人の気持ちまでイメージできるようになります。
エクササイズ 3.
話し手から聞き手側にまわってみる
共感力を高めるには、自分ばかりが話をするのをやめてみましょう。共感力のない人には難しいかもしれませんが、相手の話を真剣に聞く事で、次第に感情移入ができるようになります。
そして、いつしか共感力を高める事ができます。また、相手の話を聞きながら、相手が言った言葉を頭の中で繰り返してみると、より相手の気持ちを理解しやすくなります。
エクササイズ 4.
同じ目標を持つ集団に属してみる
共感力を高めるためには、自分以外の人間と同じ気持ちになる事がエクササイズになります。自分と目的が同じ集団に属してみると、例えば失敗した時の悲しい気持ちや悔しい気持ちを一緒に共有できますので、共感力を高める事ができるでしょう。
自分とは全く違う人間と一緒にいるよりも、目標が同じで自分と似通った集団と一緒にいる方が、相手の感情もイメージしやすいです。
エクササイズ 5.
映画を見て、小説を読んでみる
共感力がない人は、想像力が欠如しているとご紹介しましたが、想像力を高めるエクササイズにもなるのが小説です。小説を読んでいると、自然に読みながら話の内容を頭の中でイメージするので、他人の気持ちをイメージするエクササイズになります。
また、小説の場合はその時の登場人物の気持ちまで描写されている事が多いので「悲しいのか嬉しいのか」といったイメージの答え合わせもできます。
今回のテストで点数の低かった方はぜひこれらのエクササイズを続けてみましょう。少し面倒くさいなと思われるかもしれませんが、エクササイズを実践するかしないかで、数か月後のあなたの集客力は劇的に変わってくるはずです。
また、今回のテストで共感力が高かった人もその感覚が鈍らないよう、常にこれらのエクササイズを意識してみてください。とても参考になる文献として、デールカーネギー著書の『人を動かす』という本をオススメしています。この書籍には対人コミュニケーションにおけるノウハウが書かれています。名著ですので、ぜひ読んでおきましょう。
そして続いてのテーマも、今回の共感力にとても深く関係しています。
4、無視されるSNSの投稿
今ではハンドメイド作家さんの中でSNSを活用してない人はいないと思います。インスタグラム、フェイスブック、ツイッター、TikTok 、YouTube、ブログ、などなど・・・あなたも何かしらのSNSを使って広報活動をしているかと思います。ですが、やはりこのSNSを使った広報活動については誰もが苦労しているようです。
・反応が薄い
・いいね!がつかない
・コメントがつかない
・フォロワーが増えない
・購買に結びつかない
多くの方に、このような悩みがあるのではないでしょうか?
ある投稿の一つにこのようなものがあります。
この作品は私の大好きな〇〇の素材でできています。
〇〇をイメージして一生懸命に制作しました。
オーダーも受け付けております。
詳しくはお問い合わせください。
他の商品も展開してます。
こちらのHPをご覧になってください。『オンラインショップ』
https//●●●●●.comまた、●●デパートに出店することになりましたのでぜひご来店ください。
■開催日程
●月●日~●月●日
〇〇デパート3階
10:00~20:00皆様のお越しをお待ちしております。
これをお客さん視点から要約すると次のようになります。
「この作品は私の大好きな〇〇の素材でできています。 〇〇をイメージして一生懸命に制作しました」
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ふーん・・・で?「こちらのHPを見てください」
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ウザいほどに似たような商品がいっぱいある中で、なんであなたのHPを見にいかなきゃいけないの?「また、●●デパートに出店しますのでぜひお越しください。」
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
この忙しい中でなんでわざわざそこまで行かなくちゃいけないの?
このような投稿を毎日続けたとしても、おそらくは一定数以上の読者はつかないと思います。なぜなら読み手がこの投稿を見るメリットが何もないからです。一生懸命に制作して頑張った気持ちを伝えたいのは分かりますが、自分のことばかり伝えていては、そのうち読み手も引いてしまいます。
さらによくあるパターンとして、プライベート用とハンドメイド用で別々にアカウントを作っている方もいますが、結局は両方とも自分のことばかり書いてしまって、どっちがプライベート用のアカウントか分からなくなってしまうケースも往々にしてあるようです。
本人がそれで満足していればいいと言ってしまえばそれまでです。ですが、せっかくあなたの制作した作品をたくさんの人に見てもらいたいのなら、相手に響くような文章を書けるようになる必要があります。
例えば、先ほどの文章の中には疑問文が一つも入っていません。『~ます。』『~ください。』など、全てが自分の主張、もしくは要求ばかりです。どこか1つでも疑問文を入れてみましょう。
あくまでも例ですが、
「この●●を身に着けて、普段と違った雰囲気を味わってみませんか?」
「この●●を身に着けてお出かけしてみませんか?いつも以上にあなたの魅力を引き出してくれます。」
「この●●を身に着けて、いつもとは一味違う特別な一日を感じてみませんか?」
などの言葉を一言だけでも文章に取り入れることで読み手にイメージ・想像させることができます。この方法は普遍的なもので、世の中のどんな商品を販売するにしても実際に使える方法です。あなたなりにいくつかバリエーションを作ってストックしておくと良いでしょう。
最近では、人は文章を読まないからという理由で、画像だけに力をいれて文章を重要視していない方も多いようです。もちろん反応が増えるなら文章は短いに越したことはありません。写真だけで惹きつけられる商品があれば、それを見せればいいだけです。例えばインフルエンサーや芸能人なんかが、ドラマ・バラエティー・CM・雑誌などで着用してもらい、それを紹介することができれば、見る側としても直感的で分かりやすいので伝える側のあなたとしても苦労することはないでしょう。
ですが、今の現代ではモノが溢れかえっていて、さらにハンドメイド市場は過去にないほどの飽和状態です。そんな中で、他の作家さんと差別化することが非常に難しくなってきています。ですのでお客さんを惹きつけるにはそれなりの文章力が必要になってきます。
つまり、お客さんの思考を、お客さんの立場になって、もっともっと深く掘り下げていく・・・これを考えずに、表面だけで写真や文章を投稿しても、それはうまくいきません。ここで今一度あなたの商品と、あなたのブランドについて定義し直してみてください。
①莫大な投稿がある中で、なぜあなたの投稿や記事を見る必要があるのか?
②なぜ他にもたくさんの作家さんがいる中で、あなたの商品を買わなければいけないのか?
③もしあなたが個展やデパートでの出店をするのであれば、HPで買えば楽なのに、なぜわざわざ見に行く必要があるのか?
④あとで見ればいいのに、なんで今見る必要があるのか?
⑤あなたのHPを見ること、もしくはあなたの個展や出店したお店に行くとどんなメリットがあるのか?そして来店しないとどんなデメリットがあるのか?
これらの疑問に全て答えられるように答えを用意しておくべきです。時間をかけてもいいのでじっくりと考えてみてください。この5つの質問の答えを文章力なくして伝えることは不可能です。あなたの作品の魅力とはなんでしょうか?
5、売れる商品紹介文
私も含め、ジュエリーデザイナーのようなモノづくりの業界にいる方は特にそうなのですが、商品紹介文を作る際に、大きなミスを犯しています。それは、お客さんのベネフィットを書くべき大切なところで、商品の概要や特徴だけを書いてしまっているということです。
ベネフィットというのは、商品を買うことによってお客さんが得ることができる価値や利益、恩恵のことです。基本的に人は、ある商品を購入するとき、その商品の特徴が欲しくて買うのではなく、その商品を買うことによって得ることができるベネフィットが欲しくで買うのです。
お客さんがあなたの商品を見たにも関わらず素通りしてしまう理由・・・それは、「なぜ私がそれを買わなければいけないのか?」が書かれていないからです。興味がない人、もしくはあなたの商品の必要性に気付いてない人に欲しいと思わせるには、まず「自分事」として捉えてもらう必要があります。ほとんどの人は「自分には関係ない」と思いながら商品を見ているのです。
広告の業界では昔から「メリットのメリットを述べよ」という言葉があります。「自分には関係ない」と思っている人を振り向かせるには、商品の概要や一般的なメリットだけではなく、「その人の個人的な利点」が具体的にイメージできることが重要です。
そのためには、「で、それを買うと 私にとって、僕にとってどんないいことがあるの?」「どう変われるの?」というお客さんの質問に納得がいく答えが用意できるかがカギとなります。
これはとても大切な概念なので覚えておいて欲しいのですが、『商品はお客さんにとって壁である』と考えるようにしてください。先ほどもお伝えしましたが、お客さんが本当に得たいものは、商品によって得ることができるその先の結果であり「あなたの商品ではない。」ということです。
『人→商品→得られる結果』
この図式を必ず覚えておいてください。要するに、求めている結果が得られるのであれば、あなたの商品でなくてもいいということなのです。
『お客さんは直径0.6cmの電動ドリルが欲しいのではなく、子どもの写真をかけるための直径0.6cmの穴が欲しい』という有名な言葉があります。これはつまり、子どもの写真を飾るための穴をあけることができれば、電動ドリルでなくてもなんでもいいということを意味しています。
他にもベネフィットに関して、いろんな例があります。
「ダイエット食品を食べるのは痩せるためではなく、かわいい水着を着るため」
「世界最軽量のビデオカメラを買うのは、持ち運びをラクにしたいのではなく、息子の運動会でブレない動画を撮影したいから」
「英会話スクールに通うのは、英語を話せるようになりたいのではなく、会社で昇進したいから」
これはあくまでも一部ですが、なんとなく理解できたでしょうか?単なるメリットではなく、すべてその先のベネフィットが書かれています。
職人気質の方たちは、どうしても商品のデザイン性や品質、クオリティ、機能やスペックにフォーカスしがちです。商品をアピールする際には、買い手の欲求やベネフィットを深く考えられず、商品の概要など、商品中心に書いてしまうのです。逆にプロのマーケッターは、相手の満たしたい欲求やベネフィットにフォーカスしています。
例えば、このように考えていたりします。
●どういった場面で使っているか → 例:デートかな?ランチかな?
●誰と一緒にいるか → 例:主婦友達かな?彼氏かな?
●どのような場所で使うか → 例:家かな?学校かな?職場かな?
など、具体的なシチュエーションを考えることができるのです。そのため、その作品の由来や歴史、どのようなメリットやベネフィットがあるか、どのような欲求を満たせるかなどを文章にすることができます。
ちなみに私も長い間、職人気質な考え方でした。当然のようにデザイン性や品質、機能やスペックなど、商品の特徴にこだわった文章の書き方を続けていました。
面白いことに、これは商品の写真にも表れてきます。最近では写真の撮り方を教えている教室なども多く存在しています。ですが、何もアドバイスを受けていない人が好きなように撮影すると、プロのマーケッターが撮影した写真との間に大きな違いが出てくるのです。
例えば、職人気質な人が商品写真を撮影すると、かなり商品に寄った写真になります。必ずしも、これが間違っているというわけではありません。ですが、作品単体の、物撮りの写真など「物」や「その部分だけ」になりがちです。
それに対してマーケッターが撮影すると、引きの写真の枚数が極端に増えてきます。その商品をどのような場所や場面で使用しているかなどのシチュエーションが見て分かるような写真の撮り方をしているのです。これを少し難しい言葉でいうと「俯瞰」して物事を認識できるか、という事につながってきます。
つまりは「木を見て森を見ず」という状態で、
『職人気質 → 虫の目』
『マーケッター → 鳥の目』
ということなのです。この考え方を取り入れることができるようになれば、写真や文章で、お客さんの感情に訴求するような商品アピールができるようになります。
例えば、単に「輸入素材で作ったオンリーワンのアクセサリー」ではなく、「パーツは作者こだわりのフランス製。身に付けた瞬間に心が躍り出してしまうような耳元で揺らめくピアス」といった感じです。ぜひ参考にしてみてください。
では、ここで商品の特徴をベネフィットに変換するエクササイズを実践してもらいます。まずはあなたの商品の特徴を、どんな小さな特徴でもいいので、ひたすら紙に書き出していきましょう。モノであれば、形や色などのデザインや、重さや大きさ、商品の歴史なども特徴として書き出します。サービス面であれば、保証、返品、交換などの特徴になります。
次に、なぜその特徴が存在しているのかを考えましょう。特徴が存在する理由が必ずあるので、書き出した特徴1つ1つに、その理由を考えていきます。
「なぜその素材なのか」
「なぜそのデザインなのか」
「なぜその大きさなのか」
ということを問いただしていきます。そしてその特徴をベネフィットへ変換していきます。特徴を書き出すと、その先のベネフィットが見えてくるはずです。ここで先ほどの「世界最軽量のビデオカメラを買うのは、持ち運びをラクにしたいのではなく、息子の運動会でブレない動画を撮影したいから」を例に挙げてみます。
例えば、なぜその素材なのか?鉄ではダメなのか?という問いに、「鉄では重く、カーボンの素材を使うことで頑丈で軽いものを作ることができる」という考えに至ります。そして、「軽いことで、持ち手に負担をかけないので、手ブレが起こりにくい」つまり、「息子の運動会もブレない綺麗な動画を撮影することができる」そうして最後には、「綺麗な動画を残すことで家族みんなで楽しく見直すことができてステキな思い出を残すことができる」というベネフィットにたどりつくことができます。
このベネフィットには、大きく分けて3種類に分けることができます。
1つ目は「機能的ベネフィット」
2つ目は「立体的ベネフィット」
3つ目は「感情的ベネフィット」
です。
機能的ベネフィットというのは、機能と直接関係しているベネフィットのことです。基本的にパッと思いつくものが多いです。
今回は別の例として、ハンドメイドのショルダーバッグを例にとってみましょう。バッグにショルダーベルトがついていることが特徴なのであれば「肩にかけて簡単に持ち運ぶことができる」というのが機能的ベネフィットになります。
つづいて立体的ベネフィットというのは、お客さんの人生から見たベネフィットになります。つまり、生活の中で実際に使うシーンを描いたベネフィットです。
ハンドメイドのショルダーバッグの場合、仮に小さなお子さんがいる主婦の方へ売りたいと考えているとします。その女性の人生において、そのショルダーバッグを使っているシーンを考えてみてください。「ショルダーバッグがあることによって、両手でお子さんを抱っこしている時でも、バッグを簡単に持ち運ぶことができます」といったものが立体的ベネフィットになります。
これがお子さんがいる主婦でなく、会社員の女性であれば、違ったベネフィットになるはずです。つまり、ターゲット選びはとても重要になります。ターゲットの選定については、また別の機会にお話ししたいと思います。
最後の感情のベネフィットは、お客さんがどう感じるかに訴えるベネフィットになります。例えば、駅のホームで電車を待っていた時にお子さんが泣き出してしまった。電車が来たけど、両手がふさがってしまったので、下に置いたバッグを持つことができず、電車に乗り遅れてイライラしてしまった。ですが、ショルダーバッグがあることによって、肩にかけて運ぶことができるので、二度と電車に乗り遅れることはなく、嫌な気持ちになることもありません。
と、このような感じになります。感情的なフラストレーションの解消を、そのベネフィットを得ることでお客さんがどのように感じるかが感情的ベネフィットになります。
このように、商品説明分を書く時には、リストアップした特徴をベネフィットに変換する作業をすることが大切です。のちにこのベネフィットがあなたのプロフィールやショップ紹介のストーリーやコンセプトや世界観などのさまざまな場所に発展していく可能性があります。
今回のベネフィット作成の大きな流れとしては、
1,商品の特徴を書き出す
2,その特徴がなぜ存在するのかを書き出す
3,特徴の存在する理由から「機能的ベネフィット」「立体的ベネフィット」「感情的ベネフィット」を導き出す
です。商品説明を書く際は、必ずこの内容を振り返って、「特徴」と「ベネフィット」の違いがなんであったかを思い出してください。そしてお客さんの心に響くようなベネフィットを商品紹介文に載せましょう。この作業はとても重要です。お客さんはベネフィットをはっきり言ってもらわないと分かりません。ベネフィットをお客さん任せにしないように注意しましょう。
6、あなたのアピールポイントを見つけよう
ショップをブランディングする上で、あなた自身のプロフィールをお客さんに伝える必要が出てくるでしょう。これはショップを開いた時点で最低限やらなければいけないことですが、ほとんどの方は販売する商品のことばかりに目が行きがちで、このプロフィールをおろそかにしていることが多いように思います。
プロフィールはショップの看板になるところですので、お客さんの頭の中にイメージとして残るものです。なので、ブランディングとしても重要な役割を果たしています。ですが、大半の人のが、プロフィールをうまくかけず、どんなことを書けばいいのか迷う方が多くいらっしゃいます。
ショップや自分自身の良さなどが分からず、どのようにアピールしていけばいいのか分からないのです。プロフィール作成では、自分に足りない部分や自分の弱い部分だったり、逆に自分の強みや、他の人にはない自慢できるような部分を見つけることが重要になってきます。
ということで、今回はプロフィール作成に重要な自分の弱みと強みを知る方法をワークとして実践していきたいと思います。と、その前に、前項の復習もかねて、少し心理学についてお話したいと思います。
前項でもお話しましたが、商品を販売する場合、お客さんが本当に求めているベネフィットを提示してあげる必要があります。だとすると、お客さんが求めているベネフィットを知る必要がありますが、ほとんどの場合、販売者側にはそのベネフィットが見えていません。つまり、お客さんには見えているけど、販売者である今の自分には見えていない部分が存在しているということになります。
そうなると、お客さんが求めている真のベネフィットを提供することは難しいです。ベネフィットが見えていなければ、言語化して文章にすることもできず、お客さんに商品の良さを伝えることができないからです。基本的に人間というのは、自分の知っていることや自分の中にあるものにしか気付くことができません。
1つ例を挙げてみます。
過去に誰もが「欲しくて今すぐ買いたい」と感じたものがあったはずです。例えば、ブランド財布、バッグ、車、時計、服などです。仮にここではプラダのバッグが欲しくてたまらないとしましょう。
すると人間の心理とは面白いもので、今まで気にしていなかったのに、急に町中でプラダのバッグを持った人が目につくようになります。
他の例でいうと、ベンツが欲しくなったら町中で走っているベンツが急に目に入るようになったり、赤い服が欲しくなったら赤い服を着ている人が目に入るようになります。ベンツの数も赤い服を着ている人の数も以前と変わらないのにも関わらず「こんなに多かったっけ?」と感じるようになるのです。
このような現象を心理学では「スコトーマ」と言います。これは「網様体賦活系」呼ばれる脳の回路の働きによるもので、人間の脳内のフィルターのようなものです。自分自身の中に無いもの、もしくは知らないことというのは、実際に自分の周りに存在しているとしても気づくことができないという人間の心理なのです。
これは実際に、あなたの脳内でも気づかないうちに起こっている現象です。このフィルターが脳内にかかっていることによって、あなたにはお客さんが本当に必要としているベネフィットが見えてこないのです。
つまり、先ほどの例で言うと、赤い服が欲しいと思っているお客さんには街中で歩いている赤い服の人が見えていますが、あなたの目には映っていないということになります。要は脳内のフィルターでシャットアウトしてしまっている状態なのです。
ですので、いかにお客さんのことを知りお客さんの立場に立つことができるかが重要になります。ここで必要となってくるのが共感力です。先ほどの「売れるデザインの考え方」でご紹介したエクササイズを癖づけておくことによって、どんな商品を販売するにしても、お客さんが求めているベネフィットを見つけやすくなります。
それでは、今回の本題でもある「あなたのアピールポイントを見つけよう」に戻りますが、この「スコトーマ」という心理学を覚えてもらったうえで、「自分の弱みと強みの見つけ方」という1つのワークをしてもらいます。
アピールポイントの見つけ方
まず、A4サイズくらいの紙を2枚用意してください。その2枚の紙を縦に置きます。そしてその紙を、それぞれペンで横に3分割してください。次に縦に半分に折ります。するとこのような感じで折り目がつきます。
これを2枚とも同じように作ります。そして、1枚の紙の左側にあなたが尊敬する人や好きな人の名前を3人書いてください。この好きな人というのは友人や知人でも構いませんし、芸能人や俳優・女優の方でも大丈夫です。できるだけ実際に存在する人がいいですが、どうしてもいなければアニメやマンガのキャラクターでもOKです。
次にその右側の欄になぜその人が好きなのかという理由を書いてください。例えば、カッコいいからとか、可愛いから、性格がいいから、素直だからなど、どんなことでも構いません。また、一人につき、1つの理由で大丈夫です。
つづいて、もう一枚の紙の左側には、今度は同じように「嫌いな人」「苦手な人」「嫌で嫌でしょうがない人」を3人書いてください。そして紙の右側にはもっとも嫌いな理由をそれぞれ1つずつでいいので書いてください。
例えば、「この人は嘘をつくから嫌いだ」とか、「人の悪口を言うから嫌いだ」とか「いい加減だから嫌いだ」など、どんなことでもOKです。時間がかかっても良いので、じっくり考えてみてください。
すると嫌いな人3人と、その人たちの嫌いな理由、好きな人3人と、その人たちの好きな理由を書いた2枚の紙ができました。この2枚の紙をそれぞれ右側だけが見えるように真ん中で折ってください。すると、嫌いな理由と好きな理由だけが見えるようになったと思います。
この嫌いな理由と、好きな理由・・・これが何かというと、ここに書かれている6つの理由があなた自身になります。つまりこの理由こそが、あなたの「強み」であり「長所」であり、また、「弱み」であり「短所」なのです。
なぜこれが強みとなり、弱みとなるのか・・・それは先ほどお話した「スコトーマ」という心理に深く関係しています。スコトーマは「網様体不活系」という脳のシステムによってフィルターがかかっていて、実際に存在しているのに、自分にないものは気づくことができないという人間の心理でしたね。
つまり、あなたの中に無ければ、相手の良いところや悪いところは見えないということなのです。嫌いな人に対しての嫌いな理由は、あなたの中にすでのに存在するからこそ気づくものであって、あなた自身がその要素を持っているからです。もしかしたらそれが表面に出ているかもしれません。
好きな人の好きな理由というのも同じです。すでにあなた自身がその要素を持っていてあなたの中に存在するからこそ気づけるのです。例えば、嫌いな人の理由に「嘘をつくから嫌い」と書いたのなら、あなたも嘘をつく人間か、もしくは過去に嘘をついていた可能性があります。
逆に好きな人の理由に、「あの人は努力家だから好き」と書いたのなら、あなたがすでに努力家であるか、もしくは努力家になろうとしているということです。要するに、その紙に書いた「好きな理由」があなたの長所であり、「嫌いな理由」があなたの短所であるということです。
ですが、必ずしも弱みを克服する必要はありません。それはそれで味があり、それがあなたの特徴でもあるからです。逆に弱みをさらけ出して、お客さんから共感を得ることもできます。
そして今回発見した、このあなたの強みや弱みをブランディングに取り入れて、ストーリーにしてお客さんに届けていきます。ストーリーにすることで、あなたのことやあなたのショップのイメージが脳に印象付きやすくなります。
このように自分の強みや弱みを知っておくことで、あなたの世界観や作品の方向性が定まって、ご自身のブランディングにとても役立ちます。ぜひ今回書いた紙を捨てずにとっておいて、実践して見つけたあなたの強みを弱みを忘れずにブランディングの指針にしてもらえたらと思います。
7、値下げよりも値上げしろ
商品を販売する上で悩むことの一つに『価格の設定』があるかと思います。私もこの価格設定には散々悩んできましたし試行錯誤を繰り返してしました。価格設定については全ての人が悩むところで、どんなものを販売していても同じです。そして商品が売れないと誰もが最初に思いつくことが『値下げ』です。
まずここでお伝えしたいことは、絶対に大手の企業と張り合って価格競争をしてはいけないということです。とくに個人で販売している方たちは肝に銘じておいてほしいと思います。これは鉄板であり、大原則です。価格でお客さんを集めると長期的に苦しくなります。
とくに物が溢れている現代においては、同じようなモノを同じような売り方で安く売ることは、個人では不向きです。大量仕入れ、大量販売、高回転の薄利多売商法は、お金も人脈も持っている大企業であるがゆえに成立するものです。
ちなみに倒産する会社のほとんどが最後には値下げに失敗して倒産しています。収入が大きい時はそれほど気にはならないのですが、収入が小さい時に値段を下げると一気にダメージが大きくなります。
基本的に多くの販売者さんたちは、日々、お客さんから安く提供するように求められています。ですが、このような値下げ圧力に負けないようにするには、価格以外の要素でいかに他のショップや作家さんと差別化しているかをお客さんに理解してもらう必要があります。「他のショップに価格で負けた」という言い訳は、価格以外の要素でも勝てなかったことに他なりません。
個人のショップが価格競争を避けるためには価格以外の要素で勝負するべきです。商品やサービス内容、販売チャネルや販売する地域、販促活動や営業活動、ショップの理念や商品の定義、販売するマーケットや顧客層、こういった内容で差別化するべきです。つまり付加価値をつけて、高い価格帯で勝負することがブランディングをする上での王道となります。
どんな業種でも同じことが言えますが、「安くすれば売れる」という概念を捨ててください。インターネットで価格を下げることはクリック一つで簡単にできてしまうため、安易に考えがちなのですが非常に危険な行為です。安さを謳って(うたって)お客さんを釣ってしまうと少し言い方は悪くなってしまいますが、質の低いお客さんを呼んでしまいます。
特に大型ショッピングモールなどにありがちなのが、クリックしてもらうためにセールや割引などで安くしてしまうことです。これをやってしまうと、一時的に売り上げは上がっても、利益が全く出ないという意味の分からない状況に陥ってしまいます。例えば大手ショッピングモールで、あるシャンプーを売っている店舗さんがありましたが、価格競争に陥ってしまって1つのシャンプーの利益が10円ということがあったそうです。これはあまりにも悲惨と言えるでしょう。
現在では、インターネットを使うことで簡単に価格を比較できてしまいます。そのため金額の安さで集めたお客さんは、もっともっと安い商品を求める傾向にあります。こういったお客さんは質が低く、クレームや低評価レビューの書き込みにつながります。
さらにこのレビューは周りの人にも影響を及ぼします。大手ショッピングモールなどのレビューを見ても分かると思いますが、安価で売っているものほど悪いレビューばかり書かれています。もちろん、その商品が本当に粗悪なものであることも1つの要因ではあると思います。ただ、一人が悪いレビューを書くことによって、そのレビューに引っ張られて次々と悪いレビューが集まって来るという現象が起こることも確かです。また、初回限定やセールのみを狙った「バーゲンハンター」や「チェリーピッカー」と言われる利益になりにくいお客さんもいます。
では、ここで日常生活での例を見てみましょう。少し思い出してみてほしいのですが、安い居酒屋に行った時と、高級な料亭などに行った時を比較してみてください。店員の接客態度、お客さんのマナー、トイレの使い方など比べてみれば明らかだと思います。主に安い居酒屋では『店員のヤル気がない』『お客が騒ぐ』『トイレが汚い』などが挙げられると思います。
反対に高級な料亭になると店員のお客さんへの扱いは良く、騒ぐお客さんは居なく、逆に静か、そしてトイレはいつも綺麗・・・このような差を感じたことはないでしょうか?ネットショップもこれと全く同じようなことが起こりえるということです。
では、「安い値段では売るな」と言いますが、一体どこまで値段を上げればいいのでしょうか?マーケティングがしっかりとしていれば、ある程度までなら値段を高くしてもそれほど大きく影響はしないと考えています。
ですが、「値段を高くしすぎて、逆に売れなくなってしまうんじゃないか?」と、誰もが懸念してしまうと思います。確かに、値段を引き上げ続けていれば、いずれは収入が減ってくる段階にたどり着きます。この辺は、実際に売りながら価格を調整していくしかありません。
例えば、5,000円の商品を1ヵ月に10人が買ってくれたとしたら売上げは50,000円。仮に、その商品を20,000円に値上げしたとして、購入する人が10人から4人に減ったとしたら売上げは80,000円。この時点では売上げは上がっています。ですが、この商品をさらに40,000円まで値上げして、1ヵ月に1人しか買わなくなったら売上は40,000円になり、5,000円で売った時よりも売上げが減ります。
このように、購入率のピークというものが存在し、一定の値付けに達すると利益が減っていってしまう箇所が存在します。ただ、一概にこのようなグラフになるとは限りません。逆に値上げすることによって販売回数が増えるという場合もあります。
こういった考え方は、固定費や変動費というものを含めて限界費用・限界収益といった考え方で計算する必要があります。計算が苦手な方は困惑してしまうと思いますので、今はまだこれらを覚える必要はありませんから安心してください。
ですが、ここで考えてもらいたい重要なことは『販売数を増やしたいのか?』それとも『利益を増やしたいのか?』という点です。たとえ販売数が増えたとしても、値段が低ければ売上げや収入が上がるとは限りません。販売数を増やしてもあなたの生活が豊かになるとは限らないということです。
販売数が増えれば、それだけあなたの仕事量も増えます。とくにハンドメイドなどのモノづくりの世界であれば、仕入れ以外にも制作するという工程が入ります。もしも値段を2倍にして、販売数が1/2に減ったとしたら、それは悪いことでしょうか?
もちろん、あなた自身が「もっと多くの人に商品を提供したい!」「もっと多くの人に商品を知ってほしい!」と思っているのであれば、それでもいいと思います。ですが、先ほどの例のように、同じ商品でも40,000円に値付けした商品を1人が買ったら4万円の売り上げ、5,000円に値付けした商品を10人が買ったら5万円です。
たしかに、ここでは10,000円の利益の差はありますが、1人に売るよりも大勢の人に売りたいからといって、40,000円に値付けして売れた商品を5,000円で売ろうという考えになりますでしょうか?
今回のようにグラフを使って説明されたり、具体的に数値化して説明されると値下げすることがありえないと感じるかもしれませんが、実際にライバルたちが販売している商品の価格を見ていると、どうしても値下げしたくなる感覚に陥ってしまうのが現状です。
とはいえ、多くの人に提供したいというような、利益を考えずに販売数だけを増やす選択をしても、それはボランティアの範囲であってビジネスではありません。ボランティアとビジネスは全く違います。ボランティアのような気持ちで値付けして商品を提供していると、いつか絶対に行き詰まってしまいますので、今一度ここで考え方を改めてほしいと思います。
それと、お客さんがあなたの商品を購入するということはあなたが提供する価値をお客さんがお金を払って購入することでもあるということを忘れないでください。
それでは、ここから、価格競争に巻き込まれないようにするための価格設定についてのワークをしていきたいと思います。
ワーク1
まず第一のエクササイズとして、自分の商品に価値がないという偏った考えを捨てること。作家さんの中には、商品を売ることやお金をもらうことに抵抗を感じる方もいらっしゃるかと思います。
また、「私の商品なんて・・・・」とか、「他にも似たような商品があるし・・・」「まだまだ初心者なので・・」「クオリティが低いから・・・」といって値段を下げる方もいらっしゃいます。
ハンドメイドであればもちろん制作経験を積んでスキルアップすることは必要ですが、お客さんからすると、商品の値段はそのまま商品の価値として評価します。それはあなたのショップの価値でもあるのです。1,000円や2,000円の商品しか売っていないショップと、30,000円や50,000円の商品を売っているショップとでは、大きく評価が違ってきます。
今回のエクササイズを行なうことで、いろんなことが見えてきて、商品やショップを大切に思う気持ちと、時間をかけて販売しているという自覚が生まれてきます。すると、「自分の作品は安売りできない」という気持ちも芽生えてきます。
何かしらの思いがあってその商品を売っているのですから、自分自身を卑下して価値を下げるようなことはやめましょう。まずは、こういったことを念頭に入れて、次のステップへ進みます。
ワーク2
つづいて、商品の原価を計算します。原価というのは、商品を作って販売するために必要な費用のことです。原価には大きく分けて製造原価と売上原価に分けられます。
製造原価は主に
・商品を作る際に使用する材料費
・労働力を消費することで発生する労務費
・材料費や労働力以外で発生する経費
これらが含まれます。例えば、ハンドメイド作品の場合では、商品の材料費と、制作にかかった作業時間、つまりあなたの時給が主な製造原価になります。30分で出来上がる商品もあれば、2時間かかって出来上がる商品もあります。それを考えずに同額で売ってしまえば、タダ働きしているのと同じになってしまう可能性があります。
時給の基準としては、厚生労働省が出している地域別最低賃金を参考にしてみましょう。低い所では790円ほど、都市部に行くと1000円程度がおおよその相場です。発送元であるご自身が住んでいる地域を元にして計算しましょう。GoogleやYahoo!で「地域別最低賃金」と検索すると、一番上に厚生労働省のサイトが表示され、直近の賃金一覧を見ることができます。
続いて売上原価についてですが、これは販売原価とも言われています。
売上原価は主に、
・制作にかかった光熱費
・人件費
・交通費
・梱包材などの消耗品
これらが含まれます。ハンドメイド作家をしている方の場合は、意外と仕入れた材料費だけを計算に入れがちですが、材料費を購入するために使った、バス、電車、車などの交通費や納品の際に必要な送料も経費に含まれます。海外にしか売っていないパーツあれば、航空便や船便を使いますので、さらに高額になります。
趣味から始めてしまうと、とりあえず売れればいいという考えや、元が取れればいいという安易な考えから、これらを度外視している方も多いようですが、長期的に続けていくことを考えるとしっかりと原価に含めて計算する必要があります。
例として、オリジナルのショルダーバッグ1つを販売する場合の原価計算をしてみましょう。今回はあくまで単純に計算しています。仕入れ時は数量によって価格や配送料が変わってくるため、この限りではありません。
原価の例:
・仕入れ価格:2,000円
・仕入れ時の配送料:700円
・梱包費用
ラッピング袋:100枚で500円 = 1枚約5円・人件費(制作時間と梱包&発送にかかった時間)
1時間1,000円 × 2時間合計:2,000円 + 700円 + 5円 + 2,000円 = 4,705円
このショルダーバッグの場合は1点で4705円の原価がかかりました。このように製造原価と売上原価を計算するための「原価計算表」を使って、1つ1つの商品にかかる費用を記載して計算してみましょう。原価計算表については、ハンドメイド作家さんにピッタリの『fillet』という原価計算スマホアプリがありますので、そちらも利用してみてください。
iphone/iPadの方はこちら
Androidの方はこちら
ワーク3
ここから計算した原価をもとにして販売すべき一般的な適正価格を算出します。先ほどの原価に加えて、市場のニーズと競合の販売価格を比べます。市場のニーズは、その商品の一般的な価値の基準です。
同じ種類の商品がどのくらいの価格で販売されているかを調べて、平均的な価格を算出します。類似商品や、競合やライバルの商品の価格を調べてみましょう。そして市場の平均的な価格と、先ほどの原価を比較して、原価割れしていないかをチェックします。
もし市場の価格が原価を下回っていた場合には、材料費などのコストを見直す必要がありますし、あなたの商品やショップに、競合にはない付加価値をつける必要があります。
また、友人や知人の何人かに「いくらなら購入するか」という評価をサンプルとしてもらうことも検討しましょう。仮に市場の平均的な価格よりも高額でも買いたいと言われた場合には、そこにどんな魅力を感じたのかを聞いてみましょう。それが作品やショップの付加価値になる可能性があります。
逆に平均価格よりも低かった場合、材料費などのコストを見直す必要がありますし、あなたの作品やショップに、競合にはない付加価値をつける必要があります。要は価格以外のところで勝負していく必要があるということになります。
ワーク4
そして最後に、適正価格を考えたうえで、その商品にあなただけの付加価値をつけて値付けします。
この付加価値の考え方についての詳細は、また別の機会にお話したいと思います。
8、ハンドメイドでよくあるクレーム対応法
それでは最後に、ハンドメイドでよくあるクレームの対応法について書きたいと思います。あなたは今までにクレームを受けたことはありますか?一生懸命制作している中でクレームがくると、やっぱり凹んでしまいますよね。
今回はさまざまなクレームについて、どのように対応していけば良いか見ていきましょう。クレームというのはいいものであれ悪いものであれ一定数は必ず存在します。また、全ての人に好かれることは不可能です。人気が出れば出るほど一定数のアンチは存在します。
80:20の法則というものがありますが、2割のお客さんはあなたに対してアンチ・クレーマー・嫌いという人たちであると位置付けてしまえば意外と楽になります。
コツはあまり過敏にならないことです。ハンドメイド業界は特に女性の方が多いですので、どうしても妬み嫉みがあったりします。中には理不尽なクレームを送ってきたり、ただの気持ちや感情のはけ口にされることもあるようです。あまり頻繁に誹謗中傷や悪口を送ってくる人がいれば、その人はあなたのことを羨ましがっていると捉えて、拒否・ブロックをしてしまっても問題ありません。
ただし、しっかりとした商品へのクレームには誠意を持って対応する必要があります。『クレームはチャンス』と捉えることも大事です。クレームは貴重な意見を聞ける唯一の手段でもあるからです。対面販売と違ってネット販売は相手の顔が見えないため、言いやすいという理由もあってか、どうしてもクレームは多くなってしまいます。
また、直接クレームを言わずにSNSなど、陰で酷評の書き込みをしている場合もあります。このようなことを考えると、直接クレームを言ってきてくれるだけありがたいと思うべきでしょう。ということで、よくあるクレームと対処法について以下にいくつかまとめてみましたの参考にしてみてください。
キャンセルしてほしい
未入金の状態でのキャンセルならまだしも、入金後、制作中もしくは制作後のキャンセルは痛いですよね。ハンドメイドマーケットによっては、よほどのことがない限り、原則として購入後のキャンセルはできないところもあります。
とはいえ、受注生産などの場合で制作に時間がかかる場合は、キャンセルされる可能性が高くなります。とくにクリスマスなどのイベントは、日が限定されているので、シビアになるお客さんが多くなります。
現在はほとんど見かけなくなりましたが、まだ代金引換が一般的だった頃は、無断キャンセルというような受け取り拒否などの問題もありました。電話しても無視されて対応してもらえず、送料だけがどんどん増えていき、売り手がそれを払って泣き寝入りするケースもありました。既製品の場合であれば再販は簡単ですが、ハンドメイドで、しかもオーダーメイド作品であれば時間もお金も労力も無駄になってしまいます。
この対策方法としては、まず1つに在庫を持つという方法がありますが、これは高額商品だったり売れ残ってしまう場合を考えるとリスクでもあります。一番良いのは、事前にキャンセルはできない旨を記載しておくことも1つの手ですし、キャンセルには時間がかかる旨を伝えることや、クレジットカードの支払いのみにしてしまうことで、キャンセルを面倒くさくする方法などもあります。
価格が高い
このクレームに関しては、おそらくあなたの作品の価値がお客さんに伝わっていない可能性が高いです。高額なのであれば、高額なりの理由をお客さんが分かるように提示する必要があります。
『素材の価値がどのくらいなのか』
『他の作品と何が違うのか』
『どのくらいの制作時間を要するのか』
『購入することでお客さんはどのようになるのか』
『お客さんにとってどんなベネフィットがあるのか』
これらを【売れる商品説明文】のパートを参考にして明確に伝えましょう。
写真と違う
お客さんの中には写真だけで判断して購入する人も少なくありません。
・サイズが思っていたものと違う(大きい・小さい)
・色が思っていたものと違う(濃い・薄い)
これらのクレームに対しては、あなたの間違いであれば、謝罪文を送り、返品もしくは返金対応をしましょう。色についてはPC・スマホなどのデバイスによって写真と実際の色味が違う可能性のあることや、光や見方によって色の感じ方が違うことを事前に記載しておきましょう。サイズ違いであれば大きさを事前に記載するか、比較できるものと一緒に写真を撮っておき、お客さんが見てすぐ分かるようにしておきましょう。
商品の使い方が分からない
この場合は詳細な使い方の説明文を送ります。使用している画像などを一緒に添付するとよいでしょう。また、使用方法についての問い合わせやクレームが多ければ事前に商品説明欄に記載することも検討するべきです。
商品が壊れたので交換・返品してほしい
この場合は速やかな対応が必要です。まずはその事実に対して謝罪文を送りましょう。そして、事実確認をして現状を把握してください。制作のミスなど、あなたに過失がある場合は、着払いで発送してもらい、返品もしくは返金の対応します。お客さんの使用に問題がある場合はその旨をきちんと説明し、あなたが提示している保証の範囲内で対応しましょう。
頼んだ商品と違う
また、受注が多くなって忙しくなってくると、注文が来た商品とは違う商品を制作して間違って送ってしまい、「頼んだ商品と違う」というクレームが来る場合もあるでしょう。この場合は、丁重にお詫びし、本来注文をいただいた商品が受注制作であれば、制作に時間がかかる旨を正直にお伝えします。
このクレームについてはキャンセルされても致し方ありません。対処法としては、まず受注を受けた時点で注文した内容に相違がないか、注文内容を確認するメールもしくはメッセージをお客さんに送ります。
これは双方の再確認のためにもなりますし、確認したことの証跡にもなりますので、必ず行いましょう。また、受注生産であれば、このメッセージにて再度発送までに時間がかかる旨をお伝えすることができれば尚良いでしょう。受注が多くなると毎回メッセージを送ることが手間に感じることがあるかもしれませんが、テンプレートを作っておくことで解消することができます。
テンプレートのサンプルはこんな感じです。
※〓(げた)の部分を変更して送信します。
〓〓〓〓 様
この度は〓〓〓〓にてご注文いただきまして誠にありがとうございます。
作家の〓〓〓〓と申します。
今回のご注文内容は以下の通りです。
再度ご確認下さい。
———————————————-
商品名:〓
数量:〓個
サイズ:〓
名入れ:〓
発送方法:〓
———————————————-
発送につきましては〓月下旬~〓月上旬を予定しております。
発送手続き完了後に改めてご連絡致しますので今しばらくお待ちください。
その他にも、発送完了のメッセージやよく来る質問、お礼のメッセージもテンプレートとして作成しておくと忙しい時にも間違うことが少なくなり、なおかつスムーズに作業が進むのでぜひ参考にしてみてください。
その他
発送・梱包については、ゴミやホコリに関してのクレームも多いようです。とくにエアパッキン(プチプチ)は静電気が発生しやすいので、ゴミや髪の毛が付きやすいため、使用する際は注意が必要になります。さらにダンボールを使って発送する作家さんはテープにゴミや髪の毛がついてないかもチェックしましょう。せっかく良い作品を制作したのに、小さなゴミが1つ入っているだけでガッカリされてはもったいないです。
また、クレーム対策の1つとして事前にデメリットの表記をしておくと良いでしょう。お問い合わせの多いものや、クレームに繋がりそうなものに関しては予め注意事項として商品概要やプロフィールに記載しておくのです。
例)
『※実際の商品と画像では色の見え方に違いがある場合がございます。』
『※こちらはオーダー商品となります。受注制作となりますのでご注文を頂きましてから1ヶ月程でのお届けとなります。』
『※この素材は、素材の特性上、水分や汗により色落ちすることがあります。』
『※汗や濡れたりすると、他のものに色移りすることがあります。他のものと分けて洗濯して下さい。』
『※雨や水に濡れた時は、ただちに乾いたタオルなどで、こすらずにふき取るようにして下さい。』
『※着用中の摩擦で他の物に色が移ることがあります。』
このように、クレームに関しては、あくまでもお客さんの意見を参考にして改善する姿勢を見せることがポイントです。間違っても「記載してあります」というような高圧的な返信をしてはいけません。お客さんの中には良い部分を見てくれる人もいれば悪い部分を見る人もいます。
悪い部分を指摘されるとショッキングではありますが、そこは逆に改善の余地があるということです。きちんしたクレームはあなたの作品に期待しているからです。誠意を持って対応すれば、今後リピーターになってくれるお客さんも中にはいるかもしれません。
大切なことは、同じクレームが来ないように対策していくことです。クレームを受けて「イラッ」とするか改善して今後に活かすかはあなた次第。そしてその時のあなたの行動次第で未来も大きく変わってくるでしょう。
あとがき
私の好きな有名な言葉で、
「思考が変われば行動が変わる」
「行動が変われば習慣が変わる」
「習慣が変われば人生が変わる」
というものがあります。
これは、マザーテレサの格言を少し言い換えたものですが、悪い考え方や思考があなたの中にあれば、その思考によって悪い行動を起こしてしまい、そしていつの間に悪い習慣となって、悪い人生へを進んでしまうということです。
例えば、「自分には人生を変えることなんてできない」とか「自分なんてこの程度なんだ・・・」なんて思わないでほしいのです。そんな風に考えてしまうと本当に何も成果が出ないような人間になってしまいます。
成果を出すことについて、よく使われる例え話で、小さい虫の「ノミ」の話があります。ノミの平均の大きさは4mmほどらしいのですが、垂直に跳ぶと20cmほど飛べるといいます。つまり、自分の大きさの5倍ほどのジャンプ力があるのです。そこに10cmほどのコップをノミの上の被せると当然、ジャンプしたときにコップに当たって10cmまでしか飛べなくなりますよね。
すると不思議なことに、以前は20cmまで跳ぶことができたノミも、コップをはずした後も10cmまでしかジャンプできなくなっているのです。これは自分の中で「これ以上は飛べないんだ・・・」と意識することで、本当に飛べなくなってしまうという例え話です。
このお話は、人間でも全く同じことが言えて、本当は自分の中のすごい可能性を秘めているのにも関わらず、知らず知らずの間に自ら可能性を閉じてしまっているということなのです。要は自分で自分の限界を作ってしまっているのです。
なので、あなたがあなた自身に期待を抱くことがとても大切になります。つまりポジティブシンキングのような自分自身に「できる!」というように言い聞かせてセルフイメージを高く持ってほしいのです。あなたの行動というのは全てセルフイメージから来ています。セルフイメージを高く持つことで、自分の思い描いた通りの生活を送れるようなスキルも身につけることができるようになります。
限界というのは自分の中にしか存在しません。言い換えれば、どんな人でも成功する可能性を持っているということです。なので、自分自身のなかで「必ず達成できる!」という風に確信するということが大事になります。
そしてもう1つ・・・
作家さんは作品の制作のために引きこもりがちになってしまいますが、ぜひこれからはオープンマインドになってください。つまり、すべてを受け入れてほしいと思います。
「その考えは自分とは違うから聞きたくない」とか「自分にはその考え方は合わない」とか「そんな話は前に聞いたことがあるから聞かなくてもいい」というような偏った考えは一旦捨ててもらって、常にフラットな状態でいろんなものに目を向けてみてください。
そして、モノづくりをいろんな角度から見ることで、今まで見えてこなかったモノづくりの魅力というものが見えてきてハンドメイドというものに対して少し違った見方ができるようになるかと思います。それに、どんな言葉でも「スッ!」と入ってきて理解力がつきやすくいろいろな知識を吸収できて、人一倍学びも早くなります。
本書を通して、あなたの成長と成功を心から願っています。
書籍限定プレゼント企画
本書を最後までお読みいただきありがとうございます。
内容はいかがでしたでしょうか?
途中、小難しいビジネス用語もあって理解しづらい部分もあったかもしれません。ですが、できるだけ専門用語を使わずに分かりやすい言葉で執筆しました。
まだモヤモヤする箇所があれば、何度も読み返してみてください。
さて、最後に完読者プレゼントについてお知らせいたします。
これから多くの作家さんへ、ハンドメイドに関する優良な情報をたくさん伝えていきたいと考えています。
そこで、著者の大矢祥一より本書をご購読いただいたあなたへ、特別なプレゼントをご用意しました。
題して、ネットショップの売り上げアップを加速させるための【いますぐ使えるノウハウ動画「豪華5本立て」】を無料でプレゼントしたいと思います。
この動画では、初心者の方でも”売れるネットショップ”にするための方法を無料で体験していただけます。
◆こんな人に見てほしい
・少しでも売り上げを上げたい
・ネットショップを構築したい
・自分のブランドを作りたい
・実店舗や委託店での売り上げが上がらない
・リピーターを増やしたい
・・・・など、あなたの売り上げをさらにアップさせるためにご活用ください。
著者紹介
大矢祥一
1984年 新潟生まれ
2012年に会社員からジュエリーデザイナーに転身。
新潟貴金属協会の彫金コンテストにて敢闘賞を受賞。
2015年にオリジナルのネットショップをオープン。
そのほか、さまざまなECサイトにてジュエリーを販売。その後、雑誌『CLASSY』に商品掲載。
ネットショップのオープンを機に、ジュエリーデザイナー兼グラフィックデザイナーとして活動。
以降、マーケティングやWebライティングを学びながら、主にモノづくりの販売アドバイザーとしてハンドメイドやネットショップに関わる情報を発信中。
■発信媒体
・Twitter
https://twitter.com/handmadelesson
・Instagram
https://www.instagram.com/handmade.grams/
・ブログ
WEB道!デザイン&マーケティング
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ビジネスブログ
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■販売商品一覧
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