KPI(重要業績評価指標)とは?
成果を上げるための目標の決め方!!
KPIとは?
「KPI」とは、「Key Performance Indicator」の略称で、「重要業績評価指標」と訳されます。
経営にはさまざまな種類の指標が使われますが、「KPI」は日々の行動が目標に向かって、きちんと進んでいるかを確認するために設けた目安となる中間目標と言えます。
仮に、設定した「KPI」と、ギャップが生まれた場合には、行動が当初想定の方向に向かっていないことを意味し、活動の修正が必要です。
たとえば、学生の時に「テストの点数をあと10点上げたい」と、誰もが一度は考えたことのある目標だと思います。
しかし、漠然と「テストの点数を上げたい」と思っていても、いつまで経っても目標の達成は出来ません。
そのために「毎日5ページずつ漢字ドリルをやろう」などと具体的な数値で管理でき、最終目標を達成するための中間目標が「KPI」です。
KPIのメリット
1、やるべきことが全社員で明確になり、不安や迷いがなくなる
2、言語の共通化により、組織力がUPする
3、優先順位が明確化され、生産性が高くなる
4、個人の成長を促す
5、企業が成長し続ける良いサイクルをつくることができる
やるべきことが全社員で明確になり、不安や迷いがなくなる
KPI設定することにより、経営活動を定量化することが出来ます。
定量化することが出来れば、より企業全体や部署、社員一人ひとりが、「現状」「目標を達成するための方法と納期」が見える化されます。
また、結果は成果として数値で把握でき、達成すれば、それは『その行動は正しかった』と評価できますし、成果や活動が不足している場合には、原因を洗い出し、いち早く対策を立てることができます。
何をどこまでやらなければいけないかかが理解出来ていると、人の不安は軽減され、行動をしやすくなります。
言語の共通化により、組織力がUPする
企業は人が集まった組織です。
人は、同じ話を聞いても、その受け取りかたは人それぞれです。
たとえ企業が理念やビジョンを伝えたとしても、個人の解釈の仕方は大なり小なり違った捉え方をします。
たとえば目標を数値化することによって、そこに解釈の違いは存在しにくくなり、誰が見ても同じように捉えることができます。
通常、全社レベルの「経営目標・ビジョン」から細分化されていき、「部署」「個人レベル」の目標として落としこまれていきます。
KPIの設定は、経営層・管理職・社員まで共通でブレない目標と活動が共有されます。
さらに結果として、共通の認識に基づき、正確なコミュニケーションをとることができ、最終的には組織力を上げることが可能となります。
優先順位が明確化され、生産性が高くなる
「KPI」を設定する場合は、一つだけではなく、複数設定されることが大半です。
成果を出すために優先順位をつけて取り組まなければ、どっちつかずの状況となってしまうこともしばしばあります。
「KPI」が複数存在する場合には、より効率的に取り組めるよう「KPI」の優先順位つけることが重要となります。
やるべきことの順番が明確になるということは、「やらなくてもよいこと」が明確になるのです。
そして集中すべきところを理解していれば、メリハリの効いた行動を起こせるため、結果として生産性を高めることが出来ます。
個人の成長を促す
「KPI」を設定していない場合、明確な指針がなく行動の良し悪しが見えないため、何も考えず今まで通りにやってしまったり、『誰かが何とかしてくれるだろう・・・』、といったような考えになってしまいがちです。
しかし、「KPI」を設定することで、自分の活動が現状うまくいっているか、いっていないかを把握することが出来ます。またやるべきことを実践できているか、できていないかも認識することが可能となります。
また目標との間にギャップがあると、早めに対策や、創意工夫をすることができるようになります。
結果として、「段取りの良さ」や「課題への対応力」、「問題解決力の向上」といった個人の成長をもたらします。
企業が成長し続ける良いサイクルをつくることができる
「KPI」を管理することによって、すぐに経営状況を把握することができます。
成果がでていなければ、すぐに原因を突き止めることができ、時間的余裕をもって原因に対処することもできるようになります。
このように「KPI」を確立することができれば、組織が大きくなったとしても、移り変わりの早い環境にも適切に対応できる体制を整備することができます。
KPIの活用事例
ー事例A:自社のホームページ閲覧数をKPI設定した事例
自社で集客用ホームページを制作し、そこに見込み客を集め、問い合わせを得るというような営業導線を作っている企業の事例です。
この企業は「ホームページの閲覧数」を「KPI」に設定しました。
過去の実績を見てみると、ホームページに訪問した見込み客の0.2%が問い合わせをしてくれるということを把握し、ページビューを増やすことが重要と考え、「KPI」を「ホームページ閲覧数」としました。
具体的には、KPIである「ホームページ閲覧数」を「1ヶ月に4万ページビュー」と設定し、運用担当者はKPIの達成に向けて集中しました。
すると、ホームページからの問い合わせが増えて、売上アップという成果につながりました。
ー事例B:成約率をKPIに設定した事例
化粧品容器を販売するメーカーの事例です。
なかなか売上をあげることが出来ず、この企業は「アポイント数」を「KPI」に設定しました。
容器は、顧客の要望に合わせたオーダーメイドの製品となるため、信頼関係と、普段のコミュニケーションが重要なためです。
具体的には、「毎月のアポイント数80件」と設定し、既存顧客を中心にアポイントを取り訪問回数を増やしました。
その結果、担当者の信頼関係を徐々に築いていき、前年比売上120%を達成することが出来ました。
KPIを設定するコツ
いざ「KPI」を設定しようと考えた際にどのようにして設定すればいいのか、わかりませんよね。
そこで設定するときのツールとして「SMARTの法則」があります。
Specific(明確性) … 設定した目標は明確なものか
Measurable(計量性) … 目標達成率や進捗度を測定可能か
Assignable(割当設定) … 役割や権限を割り当てているか
Realistic(実現可能性) … 現実的な目標を設定しているか
Time-related(期限設定) … 目標達成に期限を設けているか
上記にちゃんと当てはまっているかを意識し設定することを心がけましょう。
KPIを活用する際の注意点
「KPI」を多く設定しすぎてしまう
よくあるのが、多くの「KPI」を設定して情報に埋もれてしまうパターンです。
多くの「KPI」を設定すると、結局なにをやればいいのか、混乱してしまいます。
すると集中できなくなり、どの行動もイマイチな成果となってしまうでしょう。
「KPI」となる指標は、最初は最終目標に対して1本の流れとなるように設定し、優先順位も決めておくことが大切です。
間違った行動を導くを「KPI」を設定してしまっている
「KPI」を設定した結果、最終目標とは関係のない行動をしてしまうようであれば、設定に問題があります。
もし、実際に運用した際に効率の悪い行動を生んでしまうような「KPI」は、優先的に修正が必要です。
対策としては、「KPI」を設定したら第3者に見てもらい、客観的な意見を聞くことが効果的です。
目標を達成するための道筋を一つの仮説として「KPI」を設定しますが、この仮説が本当に正しいのかを判断するには相当な経験が必要です。
なので仮説が外れていた場合には、素早い検証と修正を繰り返して、精度を高めていくしかありません。
まとめ
「KPI」はあくまでも中間目標です。
実際に、運用していく中で「KPI」を達成することが目的となってしまうこともあります。
最終目標を常に意識し、「SMARTの法則」をもとに適切な「KPI」を設定し、検証と修正を繰り替えすことが大切です。
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