ベネフィットってなに?意味や使い方などメリットとの違いを比較解説
ベネフィットの意味とは?
英語の「Benefit」の直訳としては、「恩恵」「利益」という風に訳されます。
マーケティングにおいてのいわゆる「ベネフィット」とは、「商品やサービスを購入することで顧客が得られる利益」というような意味で使われます。
ベネフィットはどのように使う?
ベネフィットの捉え方として、最も有名かつわかりやすい表現として、下記の格言を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「ドリルを買いにきた人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」
こちらは、「レビットのドリルの穴理論」言われるもので、アメリカのマーケティング学者・レビット氏が1968年に著書の中で述べたものと言われています。
ドリルを買う人は、ドリル自体が欲しくて買うのではなく、「穴を開けたいから」ドリルを買うのだということです。
「このドリルのフォルムがかっこいいから買うんだ!」「ドリルのコレクターなんだ」という人は(絶対いないとは言いませんが)あまり多くないでしょう。
穴を開けることにより壁に何かを取り付けたりして便利になるなど、「穴を開けることによる良い効果」であったり、新しいドリルを買うことにより、「手で開けるより」もしくは「古いドリルより」、「楽に」「早く」「きれいに」、「穴を開けることができる」というベネフィットを求めて、顧客はドリルを購入するわけです。
あなたがホームセンターの店員さんだったとして、「ドリルを買いたい」という顧客へどのようにご案内をするでしょうか。
その言葉を聞いてすぐ「ドリルコーナーはあちらです」と案内することもできますし、在庫がないときは「ドリルはありません」と答えたら個客は「あ、そう」と帰ってしまいます。
しかしもしかすると、最悪穴さえ開けられるのであればドリルですらなくてもいいのかもしれません。小さい穴、柔らかい素材に開ける穴ならば、錐などでもいいかもしれませんし、逆に固い素材に穴を開けたかったり大掛かりな作業なのであればもっと高価な機材を買ってもらうチャンスかもしれません。
「顧客が何を求めているのか」、本当の価値を捉え、そこに訴えかけることができればより顧客の心を動かすことはできるでしょう。
「メリット」と「ベネフィット」はどう違う?
よくベネフィットと混同しがちな言葉で、「メリット」という言葉を使うこともあると思います。
「メリットとベネフィットはどう違うの?」と言われたら皆さんは説明できますでしょうか?
メリット(merit)の意味としては「利点」「価値」と言われます。
ベネフィットと比べてみても、同じように感じられ、あまり違いは判りません。
このようなときには対義語を比較してみると違いが分かりやすくなります。
メリットの対義語は「デメリット」。
デメリットは「欠点」「短所」と訳されます。
一方でベネフィットの対義語としては、「ロス(loss)」や「ダメージ(damege)」といったものになります。これらは日本語としては「損失」にあたります。
とすると、「メリット⇔デメリット」は「その商品の良い(悪い)点」、
「ベネフィット⇔ロス、ダメージ」は「その商品によってもたらされる良い(悪い)効果、影響」というニュアンスでしょう。
パソコンで例えると、
・メリット…「CPUが最新」、「高画質である」
・ベネフィット…「動きが早い」、「快適に使える」、「軽くて運びやすい」
というように使い分けることができます。
飲食品などであれば、
・メリット…「カロリー20%カット!」
・ベネフィット…「(カロリーカットにより)スタイルが良くなる!」「モテる!」
といったようになるでしょう。
つまりは、その商品・サービスの「メリット(利点)」だけ語るのではなく、商品
サービスを使うこちによってもたらされる「ベネフィット(良い効果)」を伝えることが重要です。
だからと言って、ベネフィットだけを伝えても、「このサプリメントを飲むだけで痩せるよ」「すごい効果だよ」と言われても、「ぼんやりしている」「なんで痩せるのかわからない」「怪しい…」と思われてしまいます。
ベネフィットは抽象的になりがちです。「なぜその効果があるのか」を根拠だてる上で、メリットも伝えてあげる必要があります。
先ほどのサプリメントの例でいうと、「ベータカロチンが1000㎎入っていて…」「〇〇大学の××教授が監修で…」「△△産で…」のように裏付けている広告を見たことがあると思います。
メリットとベネフィットはどちらかに偏りすぎるのではなく、どちらもバランスよく伝えてあげることが大事です。
ベネフィットの3つの種類とは?
さらにベネフィットの中でも、アメリカのマーケティング学者のデイヴィッド・アーカーによると、大きく分けて3つの種類に分かれるようです。
機能的ベネフィット
その商品・サービスが持っている基本的スペックと、それによりもたらされる機能や便利さ、効率さなどのこと。
例:「安い」「早い」「便利だ」など
情緒的ベネフィット
感情に訴えかけるものです。
その商品やサービスを使用することでもたらされるプラスの感情のことです。
例:「リラックス(解放感)」「充実感」「安心感」「優越感」など
自己表現ベネフィット
その商品やサービスを使用することにより可能となる新たな自己表現や自己実現のことです。
例:「自分らしくいられる」「なりたい自分になる」「あのモデルの○○のように」など
ベネフィットにも違いがあることがわかると思いますが、機能的ベネフィットにとどまって商品のプレゼンやアピールをしている方は少なくないのではないでしょうか。
この理論を提唱したデイヴィッド・アーカーはこの3つのベネフィットに関して、「機能的なベネフィットではなく、情緒的ベネフィット・自己表現ベネフィットに目を向けよ」と述べています。
ベネフィットの事例を紹介
例えば、ノートパソコンを販売する場合には、ただ「スペックが高いですよ」「画質がいいですよ」のようなメリットだけではなかなか顧客は動きません。パソコンに精通している顧客ならまだしも、パソコン関係に疎い顧客であれば、「その性能がどのように自分たちの生活に役立つのか?」が想像できないでしょう。
そこで「安いですよ」「早いですよ」という機能的ベネフィットだけではなく、
「最新のCPUを搭載することによって、これまでよりも処理速度が速くなります。それによって、イライラせず快適にお仕事ができますよ」
「高い画質で動画などご覧いただければ、休日にリラックスできますよ」
「軽くて持ち運びができるので、どこでも仕事ができます。デザインもスタイリッシュなので、スタバでかっこよく仕事をすれば充実感が味わえますよ」
といった情緒的・自己実現ベネフィットまで伝えていただくと、使っているシーンや、どのように役に立つのかがイメージでき、より顧客は惹かれるのではないでしょうか。
まとめ
顧客によって、どこにベネフィットを感じるかは異なります。
パソコンでも、仕事で使う方は「速くて快適に仕事がしたい」、高齢の方なら「操作が簡単なもの」かもしれません。
顧客は自分の生活スタイルや価値観により、どっちのベネフィットを重視させるかを決めています。
車を購入する例でいえば、機能にこだわるか、それともデザインにこだわるのかにより、求めるものが大きく変わってきます。
このように顧客は、「自分自身の中で求めているベネフィット」を探して購入しに来ているので、顧客自身のベネフィットを考えて、うまくアピールすることが販売促進につながるのではないでしょうか。